第3話

 昼休みが終わり、退屈な授業が始まった。


「ふぁ〜」


 眠い。

 休み時間になると目が覚めるのに、授業になると眠くなるのな〜ぜ、な〜ぜ?


「ここがこうして——」


 先生の声がいいBGMになって……


 ♦︎


ピカッ!


「ん…?」


 光が点滅したような気がして目が覚めた。


「おはよ」

「……」


 目の前に玲がいた。

 why?


「な、なんでここに…?」

「もう!放課後デートの約束したでしょ!」


 あ!


「ご、ごめん!寝てたせいで…」


 やっちまった……


「別にいいよ。ゆー君の寝顔が見れたし」

「でもな〜…そうだ!お詫びに、一つだけなんでも言うことを聞こう」


 玲なら無茶なお願いはしてこないだろうという信頼のもとこの提案をした。


「なんでも…?」

「おう」

「えへへ。だったら、取っておいてもいい?」


 取っておくだと?


「それが願いか…?」

「違うよ!?」

「冗談だ。別にいいぞ」


 そもそも、俺が拒否してもいい立場じゃないしな。


「じゃあそれとは別で、明日こそデート行こ!」

「別なんだ…」

「嫌なの…?」


 目をうるうるさせて聞いてくる。

 それはずるだろ。

 嫌でも嫌って言えない。

 俺は嫌じゃないからな。


「嫌なわけないだろ。行こう、明日」

「うん!」


 元気いっぱいに答える玲。

 本当に可愛いな。


 ♦︎


 夜


「おい、妹」

「なんだい?兄よ」


 リビングでごろごろしている妹の綾香あやかに話しかけた。


「服、どうしたらいいと思う?」


 明日、玲とデート?に行くにあたって服装が分からない。

 幸い顔だけは無駄にいいからな、俺。

 あ、なんか嫌味みたいだな。

 まぁ、いいか。


「え〜適当でいいんじゃない?無駄に顔はいいしさ〜」

「それじゃあ困るんだよ…」


 なんでもいいって、例えばアニメキャラがプリントされたTシャツとか嫌だろ?


「何?そんなにオシャレしないといけないの?」

「まぁ、うん……」


 今まではあくまで遊びに行っていたのであって、デートではなかった。

 しかし、今回はデートって明言している。

 なら、それ相応の格好で行くべきだろう。


「ふ〜ん……つまり、デートだ!」


 なに!?

 ばれただと!?

 いつも察しが悪い癖にこういう事には敏感な妹。

 俺、怖いよ。


「そうと決まれば…」


 獲物を見つけたかのように、目を光らせる綾香。

 そして、そんな綾香を見て俺は嫌な予感がした。


「クローゼット勝手に開けるよ〜!!」

「あ、おい!」


 俺が返事をする前に走り出しやがった…

 俺には拒否権がないようだ…

 別に見られてはいけないものはないから、いいけど。

 やっぱ、魔法の板は便利だな〜(遠い目)


「はやく!」

「はいはい…」


 元気だな〜

 その元気を分けて欲しい。


「どうよ、これ!」

「おぉ!」


 俺のクローゼットにあったもので即席に作り上げられたコーディネートを見て、感嘆していた。

 やっぱ、コーディネートはこーでねぇと。

 ……失礼しました。


「我ながら、素晴らしいと思う!」


 迫真のドヤ顔を見せる妹。

 認めるのは腹立つが、認めざるおえない。


「完璧だ!」

「これで、玲ちゃんとのデート行けるね!」


 おっと、玲と行くことまでバレてーら。

 なんで、わかったんだよ…きっしょ。


「まぁ、ありがとな我が妹よ。今度プリン奢ってやる」

「やった〜!!じゃあ、一番高いやつ!」


 そんな遠慮もしない妹には、コンビニのプリン買ってきてやろう。

 よし!これで、あとは寝るだけだ。

 ふふふ、明日が楽しみだ。


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