第77話 空手形
「待ってください!」
ビンセントは声を張り上げ俺を静止する。
「何か?」
「報酬のお支払いは今ここで確約します」
「それは結構しかし兄上が無断でいいのか?」
「ベネチアンが被る被害に比べれば安いモノでしょう……」
なるほど空手形を切れという言葉を額面通りに受けった結果だろう。
「ではこの紙にサインを……」
予め用意しておいた対の羊皮紙を取り出し、署名と捺印をさせる。
「ツナーグ神官殿よろしければ、見届け人としてあなたにも署名と捺印をお願いできないでしょうか?」
「……構いませんが……」
「それは良かった。よろしければ傭兵・冒険者ギルドの方も一筆頂けるでしょうか?」
「は、はあ……」
「構いませんが……」
二人とも互いに顔を見合わせ、郷土愛の無いやつの手助けなんてしたくないというのがまるわかりだ。
協調性のない態度ばかりをしていては、いざというときの信頼にまで響く倹約家の兄に金を出させるためには、領内にある有力な勢力例えば
「なっ! なんですかこれはっ!!」
「この契約によって支払われた物品・金銭の内ナオス・スベーテの純利益から5パーセントを署名した者に支払う」
つまり神殿、冒険者・傭兵ギルドの三者合わせて15パーセント程度を支払うだけで、残りの85パーセントを手に入れやすくなるというわけだ。
人間手に入ると判っているものを唐突に失うことにたいして強い忌避感を覚える。
「金銭で私たちを縛ろうということですか……」
ツナーグの言葉に対して俺は淡々と答える。
「俺だけなら支払いを渋られるかもしれないが、神殿、冒険者ギルド、傭兵ギルド相手にこれからスタンピードが起こるかもしれない中で、互いの信頼関係にヒビを入れるような行為例えば、支払いをしないなんてことは起こらないよな?」
つまり最低でも15パーセント前後の金銭をオニ兄上は各勢力に支払う必要がある。
そして俺は公爵家、各ギルド、神殿といった勢力と並ぶ第四勢力として、オニ兄上に頼らずとも強い独立性を確保することが出来るという訳だ。
どう転んでも一石二鳥とはまさにこういう場面のことだ。
「では俺達の
と言ってもやることは簡単だ。
『
今世で回復魔術が仕えたからもしかしたらと思ったが、聖属性魔術も使えるようになっていた。
それが判ったのはこの準備期間の間、神殿に通い魔術の訓練をしていたのだ。
多少割高とはいえ勧誘などの煩わしさを
神殿は聖人の名声を利用でき、俺は言質を取られず実利を得られる。
まさにウィンウィンの関係だ。
そして神殿騎士の武具は『聖戦装備』とよばれる特殊なもので破魔の力を有している。
つまり神殿騎士が居れば『
「貸し一つというところですかね?」
ツナーグはポツリと呟いた。
「近年では無用の長物であった神殿騎士と『聖戦装備』の有効性を示せた上に、予算も上げたんですからトントンですよ」
「詳しい話は後にしましょう」
本当は自分たちだけでも『
(借り一つと言ったところか……)
モンスターと術者の間に魔力差があれば、某ゲームのように即死魔法になるため殲滅速度は速く、『
『
(ツナーグは俺に何を求めているんだ?)
ツナーグの目論見通り、聖人である俺を筆頭にした神官部隊による解呪によって『
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※お知らせ
アトラスの新作メタファーリファンタジオと、カプコン新作モンハンワイルズの体験版。そしてサイゲのウマ娘の新シナリオを買ったor配信される(た)ので更新頻度が少し下がりますご容赦下さい_(._.)_
またカクヨムコン10用の作品を執筆する必要がありますので、重ねて更新頻度が下がることをご理解ください。
『あとがき』
読んでいただきありがとうございます。
現在皆様にご提示している更新予定分までしか、ストックがないので人気が出なければ、その時点で打ち切りになります。
本来の想定エピソードを完走する場合8章まで約20話必要になります。
何とか惰性で書き続けている現状で以前書きあがった部分からここまでで5話書くことが出来ました。
本来の予定を切り詰めて何とか一応の完結までは持っていきたいと考えています。
なので読者の皆様に、大切なお願いがあります。
少しでも
「面白そう!」
「続きがきになる!」
「主人公・作者がんばってるな」
そう思っていただけましたら、作品の【フォロー】と「★★★」にして、評価を入れていただけると嬉しいです。
つまらなけば星一つ★、面白ければ星三つ★★★
読者の皆様が正直に、思った評価で結構です!
多くの方に注目していただくためにも、ぜひ応援していただけると嬉しいです!
作者の自尊心を満たして頂けると執筆が早くなります。
誤字脱字報告、気になる点、感想は『応援コメント』からお願いします。
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