クズ公爵家の七男になってしまった転生勇者~魔力ゼロと冷遇され嫡出子の兄弟から虐められたので前世知識を活かして努力していたら、回復魔術がぶっ壊れ性能になった俺は奴隷ハーレムで幸せになる今更謝ってもう遅い
第1話 世界を救った勇者は地球への帰還を諦められない
クズ公爵家の七男になってしまった転生勇者~魔力ゼロと冷遇され嫡出子の兄弟から虐められたので前世知識を活かして努力していたら、回復魔術がぶっ壊れ性能になった俺は奴隷ハーレムで幸せになる今更謝ってもう遅い
🔥SOU🍨🔥12月06日より新作投稿開🐳
第一章 01~13
第1話 世界を救った勇者は地球への帰還を諦められない
その男は勇者と呼ばれる異世界からの召喚者の一人だった。
日本と呼ばれる国のごく平凡な家庭で産まれ、十五年余りを過ごした時異世界にクラスごと召喚された。
「勇者様方、世界を救うために魔王を討伐して欲しい……」
王の願いに対してこう答えた。
「元の世界に帰れるのなら……」と。
武芸に魔術と一年余りの時間をかけ、基礎的な戦い方を学び、犠牲者を出しつつも魔王軍の幹部を打ち破り、遂に魔王を討取った。
しかし戦いは終わらなかった。
魔王と言う共通の敵を失った人類は、やがて同士で戦争を始めることとなる。
勇者達は魔族に向けていたその刃を人間に向けるようになった。
戦乱も落ち着いた頃。
勇者達の多くは、所帯を持ち元の世界に帰る事を諦めた者が多かった。
しかし俺を含めた一部の人間は違った。
クラスメイトで友人の家を旅に行く前に立ち寄っっていた。
「佐藤、お前本当に行くのか?」
男の腕には小さな子供が抱き抱えられている。
彼によく似ている。
「ああ……お前も両親にその子を見せたいだろ?」
「それはそうだけど、俺はもう諦めたんだ……」
「俺はお前と違って妻も居ないからな俺ぐらい足掻いてもいいだろ?」
「……」
「これで最後にするつもりだ。戻らなかったら死んだものと思ってくれ……」
「……判った。そん時はお前の墓、立ててやるよ。『世界を救いし愚か者
「なら、戻ってこないといけないようだな……」
こうして夜通し騒いだ後、俺は遺跡へと足を運んだ。
◇
護衛に雇った冒険者は道中で全員死んだ。
助けることも出来なかった。
勇者と言えども老いには勝てなかった。
鞄も壊れ、三日三晩何も食べていない。
病に掛かったのか体がだるく力が入らない。
「神代の遺跡……」
超古代文明と呼ばれる時代の遺跡に一縷の望みをかけ、遺跡中部に潜入した。
確かに遺跡の壁には多くの壁画が残されていた。
創生神話や権力者を讃えるものが多く、さぞや絢爛に彩色されていたと思われるそれらの褪色が、長すぎた年月と荒廃を物語っているようだった。
神罰を恐れてか、中央祭壇に取り残された白亜の女神像ぐらいしか運び出せるものもない。
つまり帰還に繋がるものはない。
考古学的な価値以外何もないのだ……。
「ここも……だめか」
日本へ帰りたい。
ただそれだけの願いのために、交友関係を深めることや愛を育むといった心の重しになる柵を遠ざけ今まで生きて来たのに。
帰れないと判っていたのなら、友人のように心休まる家庭を作りたかった。家族を置いていくなんて無責任な真似をしないために避けて来たモノが急に恋しくなった。
「帰ろう……」
しかし足がもつれバタリと、石造りの祭壇に倒れてしまう。
立ち上がろうとするも、足に力が入らない。
餓死……。
不意にそんな言葉が脳裏を過った。
まだ死ねない。と言う思いよりもこれで自由になれると言う安堵の方が強かった。
「すまん加藤……約束守れそうにない。神様、仏様もし願いを叶えて下さるのならもう一度人生をやり直させて下さい」
力の入っていない掠れた声で信じてない神に乞い願う。
人間最後に頼るのは超常の存在と言うことだろうか? 渇いた笑いが漏れる。
さっきまで冷たいとすら感じていた石に触れている体の感覚が無くって来た。
きっともうすぐ意識を失って死ぬのだろう。
誰も訪れる事の無い果ての遺跡で……俺の死体を見つけてくれるのは何百年後だろうか?
薄れゆく意識の中で過去の想いでが蘇る。
その時俺はこの世界で所帯を持たなかった
怖かったのだ。
他人の人生に責任が持てなくて、だから日本に帰るなんて無茶な方便を選んだ。
きっと皆判っていた。
でも口にしなかったその
でももう遅い……
流れる涙はもうない。
掠れた小さな声で叫んだ。
「無駄にした人生をやり直したい。暖かな家庭を築いて幸せに生きたい……」
刹那。
白亜の女神象が金色に煌めいた。
『魔王を倒し、勇者と呼ばれし異界からの客人よ。
女神の名において汝の願いを叶えよう』
こうして勇者と呼ばれた男は、誰も知らない遺跡で息絶えた。
―――――
今日からやっていきます。
第二章まで完成しているので毎日三話0時、7時、12時に投稿予定。
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