カラスが鳴くから帰ろ
帰る、という言葉には
名残惜しさと切なさと
懐かしさと安心感がある
目に浮かぶ情景は
日暮れ時、一歩ずつ
山道を登っている
少女のわたし
夕焼け空に
カァカァとカラスの鳴く声がして
わたしは
「カラスが鳴くから、かーえろ」
と、小さく呟きながら
足を速めるのだった
柔らかな灯りがともる我が家
愛犬のレオが尻尾を振っている
祖母と父と母のいる我が家へ
少女のわたしが駆けて行く
帰ろ、帰ろ、
カラスが鳴くから、かーえろ
「おかえり」
「ただいま」
いつの日か還ろ
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