蝉時雨

泣けないだけで

心はいつも情けないくらいに

怯えて弱音を吐いている


大人を名乗るには

わたしは未成熟すぎて


それでもどうかちゃんと

与えられたこの命を

生き抜くことができますように


こんなわたしでもせめて

彼岸の人たちのところへ

行きつくまでは



ポツリポツリと落ちてきたしずく

これは俄雨にわかあめ


青葉になった枝垂れ桜の下を歩けば

重なるように

鳴く声が降りそそぐ


蝉時雨せみしぐれ

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