いつか王子様が

むかしむかしの話よ


いつか王子様が

白馬には乗ってなくても

王冠はつけてなくても

お城に住んでなくても

わたしだけの王子様が

きっと何処かにいる

そんな夢をみている

小さな女の子がいましたとさ


赤い糸を信じて

小指と小指

結べたと思ったのに

糸は呆気なく切れちゃった

カミサマのウソツキ

それでもさ

涙なんて流してる場合じゃなくて

奥歯を噛み締める


弱っちい女の子なんて振り捨てて

お母ちゃんに変身だ!

オンナってオトコより強いんだよ、多分

その癖が抜けなくてねぇ

剣を持ってなくても戦うのさ

だって世界はそんなに甘くない

何ができるかって考える

まずできることを考える


多分、世の中にはさ

ちゃんと王子様に出会えて

ちゃんとドレスを着て

守られる女の子も

ちゃんといるんだろうなぁ

憧れないって言えば嘘になる

その歳になっても?なんて

笑わないでよね


むかしむかしの話よ


いつか王子様が現れて

わたしを彼だけの

お姫様にしてくれることを

夢みていた女の子がいましたとさ


むかしむかしの

遠い昔の話、よ

お伽噺ね

ただの叶わなかった

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