第7話
2人だけでダンジョンに入ろうとすると陽夏が付いてきたがった。
また紙を書いて提出してから3人でダンジョンに入る。
「初心者ダンジョンで休みだと学生が多いよね」
学生がチキンバード(ニワトリに似た鳥モンスター)を倒していた。
「奥に行こう」
「え? でも私まだモンスターと戦ったことが無くて」
「大丈夫」
俺達は奥に進んだ。
「まだ人がいるけど2人を運びたい、いいか?」
「いいけどどうやって?」
「いいよ」
俺は右と左に陽夏とミルクを持ち脇で抱えた。
「え? ちょ」
「はう!」
「少しだけ走る」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!
「きゃあああああああああああああああああああああああああああ!」
「はっふう! ふう! くうう! んんん!」
そしてボス部屋にたどり着いた。
高い天井の大部屋に恐竜のように巨大なチキンバードがいた。
「クエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!」
「ちょっとおおおおおおおおおおおおおおおお! ボスよボス! 駄目でしょ!!」
「ひ、ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」
スパン。
ドスン。
俺はボスの首を切り落とした。
倒れたチキンバードから穂刈が発生して3人に吸い込まれた。
これが経験値だ。
「おっし経験値ゲット、どんどん次に」
「待って待って待って! 急すぎるから!」
「でもこれが一番早いから」
「私怖くておしっこちびっちゃったわよ!」
「でも、ミルク、絡まれても逃げられるようになりたくないか? 今だけ怖いのを我慢して欲しい。死ぬより楽なもんだと思わないか?」
「話してるのは私なんですけど!」
「強く、なりたい」
俺は陽夏の肩を掴んだ。
「陽夏、言いたいことは分かる、でもミルクは死にたいとさえ思った。だからもう少しだけ我慢して欲しい。ミルクの苦しみを消したいんだ」
「……分かったわよ」
「良かった。ここから動かないでくれ」
俺は空中に魔法球を作った。
ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオウ!
魔法球が不気味な音を発する。
この魔法でモンスターが寄ってくる。
そして俺は空中に飛び上がった。
「と、飛んだ!」
空中に浮かび上がり距離を取る事で倒したモンスターの経験値を出来るだけ2人だけに渡すように工夫する。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!
この大部屋にはいくつもの通路が繋がっている。
周りにいるチキンバードが不気味な音に呼び寄せられるように走ってきた。
チキンバードが2人を狙う。
だが届く前に魔法弾を放つ。
バシュンバシュンバシュンバシュンバシュン!
無数の魔法弾を飛ばしてチキンバードを1撃で倒していく。
「どんどん倒すぞ!」
倒したモンスターの光がミルクと陽夏に吸い込まれた。
しばらく魔法弾を撃ち続けると倒れたチキンバードの死体が転がる。
俺はチキンバードを回収して言った。
「向こうに川があるからパンツを洗える。無理をさせてごめん」
「……えええ、伸ってこんなに強かったのね。飛べるし魔力は尽きないしモンスターを呼べるしボスはすぐ倒しちゃう」
「日本で目立っても良い事が無い。上に行けば叩かれるのを見てきた」
「……言わないけど、うん、パンツと返り血を洗ってくるわ」
「私も体を洗いたいです」
「ごめんな」
「ううん、ありがとう。なんだか力が湧いてきた」
ミルクは一般人なら十分に対処できるステータスを手に入れたはずだ。
ステータスを見る事は出来ないけど歩き方を見ていると力が増しているのが分かる。
ダンジョンから出た後ミルクが言った。
「どのくらい力が付いたか試してみたいです」
「一番わかりやすいのはジャンプだから一旦ダンジョンに戻るか?」
「河川敷に行きましょう。もうダンジョンはいいかな」
河川敷に移動した。
「最初は手加減してジャンプして少しずつ本気で飛んでみよう」
「うん」
ミルクがジャンプする。
ジャンプを繰り返すうちに俺より高くジャンプして着地するを繰り返す。
「凄い! 凄いです! これなら逃げられそうです!」
ミルクは魔法系で身体能力の伸びは悪いな。
でも一般人には十分、いや、もう少し経験値を蓄えて貰おう。
「ちょ、ちょっと、パンツが見えてるけどいいの?」
「今は嬉しそうにしているから堪能させよう。感動に水を差してはいけない。そう、感動は大事だ」
そう言いつつパンツを見る。
「……エッチ」
「そうかもな」
ミルクのジャンプが終わるとはしゃぐ。
「凄いです! これなら逃げられそうです」
「今伸がミルクちゃんのパンツを見てたよ。エッチだよね~」
「な、言うなよ!」
ミルクの顔が赤くなりスカートを抑える。
「今日は帰ろうか」
「伸、待って」
ガシ!
「納品して、納品しないと私が仕事をさぼったと思われるから、分かってくれるよね?」
「チキンバードを、100ほど、でいいか?」
「うんうん、今はそれでいいよ」
俺は陽夏の圧に押されてチキンバード100体を納品して帰った。
その後俺とミルクは毎日一緒の部屋で起きてダンジョンに行って帰って来ると母さんか父さんがミルクにスキルを教えてその間俺は1人ダンジョンに行きモンスターを狩り帰ってきて一緒の部屋に寝た。
他の部屋を開けようとしたらミルクがいいよと言ってくれたのだ。
だがミルクは朝起きると無意識に服を脱いでいる事が多く、昨日は全裸で寝ているミルクをじっと見つめていたら起きたミルクと目が合った。
ある日ミルクが陽夏の同僚である男性に声をかけられた。
「そろそろダンジョンに慣れてきただろう? 模擬戦をしてみないかい? こっちは刃の無い剣を使うし攻撃を当てたりしないよ」
「よろしくお願いします」
俺はミルクの代わりに笑顔で答えた。
美人の世話をしたい気持ちは分かる。
俺はミルクに耳打ちした。
「右のシールドを構えてイノシシのように突っ込んでみて」
「え? 魔法じゃなくて?」
「うん。やってみよう、相手は冒険者免許を持っているからいい経験になると思う」
演習室で2人が構える。
「さあ、かかってきていいよ。肩の力を抜いて」
「分かりました。行きます! えええええええいい!」
どっごおおお!
「ぐっぼおおおおおお!」
職員の男はシールドラッシュで壁に飛ばされて何とか立ち上がった。
「だ、大丈夫ですか!」
「う、うん、大丈夫、だよ。げほ、げほ!」
「職員さんはいつも忙しいのかもしれません。体調が悪いのに無理はしないでください。咳をしているのでもしかしたら風邪を引いているのかもしれない」
「そ、そう言えば、げほ、げほ、う、うん。体調が悪いような、げほげほ」
「でも、僕たちの事を気遣ってくれてありがとうございます。それでは失礼します」
「その前に、回復しますね。疲労までは治せなくても少しは楽になると思います」
ミルクが魔法で回復させると部屋を出た。
冒険者を吹き飛ばせたことでミルクの自信につながったはずだ。
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