第6話 亡者の食卓~その2

「――はい、お兄ちゃん、お茶」


「(ビクッ)お、お茶⁉」


「ん、どうしたぞよ?」

「……いや、何でもない。ありがとう、いやし。いただきますぞよ」


 妹のいやしがいれてくれた夕食後のお茶をズズズと飲みながら、俺、もうはじめはほっと息をつく。

 しばらくはお茶という言葉にトラウマを抱えそうだ。


 聖剣使いの勇者属性少女にビリビリ浄化されそうになったり、魔王属性のお茶屋娘に《暗黒物質ダークマター》を飲まされたり……。

 かい学園に入学してからというもの、何かこう俺の日常があらぬ方向へ転がりはじめている。

 実に、よくない流れだ。

 俺が求めているのは、ささやかな青春。

 人並みに健やかな、普通の青春だってのに。


「いやしのほうはどうなんだ、学校?」

「まあボチボチですな。えっと、今日はね――」 


 小さなダイニングテーブルをはさんで妹の近況報告を聞く。

 いやしの口から語られる、ほほ笑ましくもへいおんなスクールライフ。

 かけがえのない幸せが、そこにある気がする……。


 食器の後片付けを終えると、狭いリビングでしばし、妹と2人してテレビゲームに興じる。

 いやしのチョイスで、本日は対戦格闘ゲーム。

 個性的なキャラクターたちが、それぞれに固有の武器を用いた武芸武術を駆使し、画面内で派手に暴れまわる。


 わが妹ながら、もういやしのゲームの腕前はなかなかのものだ。

 RPGからパズルゲーム、いまやっているような格闘ゲームにいたるまでオールマイティーにこなす。

 師匠であり兄である俺としても、まったく誇らしい。

 だがその分、対戦相手としてはくせものになりつつある。

 いや、さっきから押されっぱなしなんだが、俺。


「お兄ちゃんのほうは順調? 何だっけ、ほら、……転生徒会? 聖剣使いの勇者属性なかいユーシヤさんや、頭脳めいせきなゴブリン属性のりん先生とは、その後仲良くやれておるかね?」


 ゲーム画面から視線をはずさずに、いやしがノホホンとそう問いかけてくる。

 あいかわらず、自分自身は転生徒ではないというのに、その口ぶりには転生徒に対する偏見は少しも感じられない。


「ああ、……まあな。実はさっそく転生徒の会員が1人増えました。魔王属性のお茶屋娘が仲間になった」


 あらためて言葉にすると、俺の日常がいかにシュールなものになりつつあるかが身にしみる。

 誰か助けてほしい。


「ふうん、やったね! それにしても転生徒って、いろんな人がいるもんなんだね~。今度はこのゲームに出てくるみたいな、すごうでの武闘家とか現れたりして。デヤッ、いただきっ!」

「ははは、そいつはカンベンしてほしいな……」


 俺のぼやきに、わが妹が必殺の1撃をブチかました。

 

 YOU LOSE / YOU WIN



 ゲームは終わり、現実が動きだす……。







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