夢幻の王朝: 栄華の果てに
ケニ
章: 黎明
西暦8年、前漢の都・長安。朝霧が立ち込める皇宮の大殿では、厳かな空気が流れていた。大勢の臣下たちが緊張した面持ちで立ち並ぶ中、一人の老いた皇帝が玉座に座している。皇帝の名は孺子嬰(じゅしえい)、前漢最後の皇帝である。
孺子嬰は弱々しい声で語り始めた。「朕は齢若く、未だ徳も薄い。この広大な帝国を治めるには、もっと年長で経験豊富な者に委ねるべきであろう。」 皇帝の言葉に、大殿に集まった者たちは息を呑んだ。
そこに、一人の男がゆっくりと歩みを進める。男の名前は王莽(おうもう)、前漢の外戚であり、長きに渡って権力を握ってきた人物である。王莽は皇帝に近づくと、ゆっくりと頭を下げた。「陛下、この身にそのような大役を任せていただけるとは、誠に光栄の至りでございます。」
孺子嬰は王莽を見つめ、静かに続けた。「王莽よ、汝は我が漢王朝を支えてきた。その功績は計り知れず、朕は深く感謝している。ゆえに、この帝位を汝に譲ろう。」 皇帝の言葉が響き渡り、大殿は水を打ったような静けさに包まれた。
王莽はゆっくりと頭を上げ、皇帝を見つめ返した。その瞳には、熱い野心と、未来への希望が燃え盛っていた。「陛下、この身、微力ながら、漢王朝の繁栄のため、全力をもってこの大任に当たらせていただきます。」
こうして、王莽は皇帝から帝位を譲り受け、新たな王朝「新」を建国した。
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