第8話 デブと料理研究部。
僕の入学した高校である
中でも力を入れているのが部活動。
積極的な掛け持ちも認められていて、なんと3つまでは無条件で部を掛け持ちできるらしい。
色んなことにチャレンジして自信をつけたい僕にピッタリだよね。
とはいえ、掛け持ちなんて最初からムリはよくないと思うので。
まずは大切な1つ目の部活をどこにしよう。
さて、どこに入ろうかな……?
説明会の話を聞いて、もう大体決めてるんだけどね。
前までの僕は「僕みたいなデブが入部希望したら迷惑だろうな」なんて、マイナス方向ばっかに考えて、帰宅部一択だったと思う。
でもデブ&テイクの教えは「デブは痩せた人よりもギブできる、つまりすごいギブ出来る人がデブなんだ」だからね。
部活で自分磨きして自信を付けて、少しでもすごいギブが出来る人に近づきたいぞ。
よし。
3往復目でやっと「料理研究部」のドアをノックしたぞ。
「失礼します!」
「どうぞー」
ドアを開ける。
「入部希望の人かな?」
「はい。新1年の田中タカシです。よろしくお願いします」
「「「「……」」」」
部室の中に入って挨拶すると、部員の皆さんがコチラを観察するようにじっと見ている。
女子だけで5人。
あまり歓迎されている雰囲気じゃないかも?
イケメンじゃないデブだから?
いや、被害妄想だ。
痩せた人よりもギブできるデブに、僕はなる!
「はじめまして、私が部長の高橋です。3年生よ」
「はじめまして!」
メガネを掛けた、キツそうなセンパイ女子が、挨拶を返してくれた。
「どうしてウチなの? もうひとつの料理部の方が人数も多いし、男子もいるわよ」
えーと。
なぜか、怪しまれているみたい。
しっかり説明しないと、別にある料理部の方に入れられちゃいそう。
ここは、部長さんの目を見て、しっかり説明する!
「僕は、見ての通り太っています。それで、ダイエットに関するレシピを自分で開発してみたいと思ったんです。それにはこちらが向いてるのかなーと、活動内容の説明を聞いて思ったので、こちらに入部したいと思いました」
「なるほど……。新メニュー開発ということなら、たしかにアチラよりコチラね……」
「……」
「……本当は男子には入って欲しくないんだけど(ボソッ)……」
「……(ゴクッ)」
「もしレシピが出来たら、他の部員は試食に協力できる。貴方はダイエット中で試食の協力が難しかったら、言ってくれたら手伝うわ」
「……!」
「入部を許可します」
「「「「!?」」」」
「あ、ありがとうございます! ぜひ、試食お願いします!」
「私たちも貴方がいればダイエットに適したレシピを研究してもいいかもしれないわね」
「「「「……」」」」
「僕も出来るだけ試食に協力したいです。毎回は難しいと思うのですが」
なんとか入部を認められて、ほっとする。
もう一つの「料理部」の方には男子もいるらしいけど、自分たちで新しいレシピを開発したりはしないみたいだからね。
どうしてもこっちの「料理研究部」の方に入りたかったんだ。
ちなみに後で部長さんに教えてもらったんだけど、料理研究部は今まで100%女子の部活で、男子苦手な女子がこっちに入部していたとのこと。
通りで、皆の視線が冷たかったと思いました……
「それで、田中くんは何を最初に作るかは決めてるのかしら?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます