ワイの本当の職業が【性騎士】とか言えない
恋狸
第1話 聖騎士じゃないヨ、性騎士だヨ
──どうしてこうなった!!!!
「はじめまして、聖女様。本日より貴方様の護衛騎士となりました、アルスと申します」
「そう」
「これからどうぞ、よろしくお願いします」
「…………」
【悲報】ワイ、性騎士を聖騎士と勘違いされて聖女の護衛にされる。
なお、ここで実は聖騎士じゃないんです、と言うと漏れ無く首が刎ね散らかす模様。
どないせいっちゅうねん。
☆☆☆
「あ~、ヤリてぇ〜」
平凡な村に産まれたちょっとだけ顔の良い男。
それが俺ことアルスである。
村には年寄りのジジババしかいない上に、毎日毎日同じことばっかで刺激という刺激が一切ない。
停滞を望む村の奴らは、冒険を求める俺とは折り合いが合わなかった。
たまに村にやって来る吟遊詩人。
それだけが俺の楽しみであり、すべてだった。
勇者、聖騎士、聖女、賢者による魔王を倒す冒険譚。強い魔族を瞬く間に倒し、並み居る魔物をぎったんばったん。
犠牲を出せずに魔王に勝利する、真の勇者。
そんな存在に俺は憧れていた。
勇者とは言わずとも、将来は村を出て冒険者として過ごそう──なんてことを考えていた。
んでもってそこそこ稼いで美人のハーレム作りたいな、なんてクソみたいな欲望もちょっとはあった。
きたる日に向けて鍛錬を積み、自称剣聖のホラ吹きジジイの変な訓練を受けたり……などなど、強くなるためなら何でもしてきた。
全ては──
──職業授与。
この日のために。
職業授与とは、15歳になると神から職業を授かることだ。その恩恵は計り知れなく、職業によって高い身体能力や特別な力を得ることができる。
勇者も、神に勇者と認められて魔王を倒している。
高望みはしない。
けど、戦いの役に立つ職業が欲しかった。
性騎士でした。俺の職業。
「なんだよ性騎士ってェ!! 変えろよォ! 今すぐ俺の職業変えろよクソ神ィ!!」
吠えた。吠えるだろそりゃ。
何が性騎士だぶちのめすぞマジで。
一文字ちゃうねん。性じゃなくて聖なんよ普通。
そんなことを職業授与のために来ていたデカい街の人が多い教会で叫ぶもんだから──
「──なに!? 聖騎士だってぇ!? これは大変だ! すぐに教会本部に通達せねば! 28年振りの聖騎士だ!! うおおお!!!」
「ちょっと待ってっ!! 違うの!! 違うのおおお!!! 聖じゃなくて穢らわしい方なの!!」
ある意味神聖かも、ね……。
なんてクソみたいな思考に陥るほどに大混乱の最中だった。
ある意味俺の穢れた欲望が職業として現れたのかもしれないけどさ。
にしても性騎士はねぇだろ性騎士は!!
ダジャレか? くそおもんないよソレ。
──あの野郎人の話聞かないで教会本部に聖騎士として通達しやがった。
もうこうなったら戻れなくなった。
真偽が定かかに限らず、俺は職業を虚偽申告した、として極刑に処される。
元々職業の虚偽申告は全く持って意味のない行為であり、神に背いた背信行為として重罪に課される。
……いや、バチバチクソ神とか叫んだけどそこはスルーなのね。聞かれてなかったのはラッキーだけどさ。
てか、ただでさえ重罪なのに、あろうことか聖騎士という歴史的にも超重要な職業として虚偽申告したとバレればやべぇことになる。
「……というかスキル見せてみろ、でバレるやんけ。性騎士のスキルってなんだよ、クソ」
俺は盛り上がる会場の端っこで、ステータスを開く。
職業が授与されたことで自分だけが見ることができる能力一覧──それがステータスだ。
「ステータス」
──────
性騎士
Lv.1
【職業スキル】
〈
【通常スキル】
〈剣術Ⅶ〉〈盾術Ⅲ〉〈魔力操作Ⅷ〉〈身体強化Ⅴ〉
──────
職業スキルが職業を授かったことで使える能力。
通常スキルは職業関係なく誰でも取得可能なスキルであり、俺の八年間の努力の結晶だ。
「剣術のレベルが八って、意外とあのホラ吹きジジイの修行って意味あったのか……」
さて、問題の職業スキルは……。
──────
〈
※盾の耐久値はスキルレベル、消費する性欲量、性欲の質により変化する。
──────
「何でちょっと聖騎士っぽいんだよ!!!」
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