4話 招致
そうして私とラミュマさんは馬車に乗り、郊外の屋敷まで招待されました。
その屋敷は元々フーニカール王国が用意している来客用の屋敷で、ココルア公国使節団はそこに招致されていました。
エントランス先で使節団の面々にラミュマさんが挨拶をした。
「ご招待頂き、ありがとうございます。
フーニカール王国第六王女、ラミュマ=フォン=アーグリードです。」
軽く礼をすると、リーダーらしき男が言葉を返した。
「はじめまして。ココルア公国使節団団長のジャガラです。
夕食の時間まで、客室をご用意しましたのでそちらでお待ちください。」
客間へと通される。
二人きりになるとラミュマさんに詰められました。
「なんでついて来るだなんて言ったんですか?」
「お邪魔……でしたか?」
「いえそういう事じゃ……。
……実は、このココルア公国ですが、きな臭い話が多くありますの。
革命が起きて貴族制が廃止され、それからやってきた彼らがその革命の首謀者です。
今回の使節団も、その革命軍の幹部、つまり現ココルア公国の上層部でもあります。」
「じゃあ、危険なんですか?」
私のその問いかけに、ラミュマさんは否定した。
「危険なのは事実ですが、私達には危険は及ばないでしょう。
ココルア公国はまだ不安定な状態。それが、フーニカール王国の王女に危害を加えればどういう扱いを受けるかなど目に見えていますわ。
しかもただの国でなく、フーニカール王国。建国以来、大侵攻を退けて来た王国ですもの。
大陸の中央側の、国際社会においてもむやみやたらに手出しすれば皆平等に損をしてしまうのだから手出しなどしません。」
ラミュマさんはそう言っていたが、私は内心そうではないのでは、と疑ってかかっていた。
(確かに利で言えば、ラミュマさんに何かしらの危害を加えるような立場にないと思う。)
(だが、そんな賢人を超えるのは途方もない莫迦なのではないか。)
(革命が血生臭いものだからかな。あの人達、血の臭いがする。本当に匂うんじゃなく、人間性そのものとして。私と同じだ。)
人の理解を超えた範疇に居る存在というものがあるというのは、私自身がそれを証明していた。そして、それら全てが同じく社会へと理解を示しているとは限らないし、少なくとも既存社会を破壊するのが革命という行いである筈と考えました。
その既存社会の良し悪しを何も知らない以上、その行いの善悪を問う事こそ出来ませんが、それを揺るがしてしまうほどの意思が介在する事は事実とも言えます。
そこまで思案したところで、部屋の中をぐるりと見回す。
シーニャの魔法は魔法陣を描かず、発動しても知覚できない。風魔法で空間そのものに働きかけると、不自然な隙間風の通る部分が感じ取れた。
(この会話も聞かれているのかも。ラミュマさんを招いて何をするんでしょう。)
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