個人的に「刺さる」要素がてんこ盛りのこの作品、読み進めるうちにその印象は大きく変わりました。
航空力学やマテリアルの知識、自衛隊や警察組織の内情、そして魔法の組成と構築原理……緻密な描写と圧倒的な説得力で描かれるこれらの内容は、もうどこまでが現実でどこからが創作なのかわからなくなるほど。
登場人物の設定やその関係性などもしっかりと練り込まれており、メインどころ以外にも愛すべきキャラクターが盛り沢山!
各キャラクターを掘り下げたスピンオフ短編も豊富に用意されていますので、あわせて読むことでより深く作品の世界に浸ることができると思います。
空を飛ぶ事に憧れ、その夢を果たした航空自衛隊のパイロットが、なんとドラゴンと遭遇する! という流れから始まる異世界とのリンクファンタジー。
特筆すべきは作者様の航空関係の知識と、それを生かした表現の緻密さが生み出す「リアリティ」に満ちた表現力。
まるで新聞を読んでいるような現実感アリアリの情景描写は、創作でありながらも現実感という空気をビンビンに感じさせてくれます。
もし現代社会にドラゴンが現れたらきっとこんな感じなんだろうな、と思わせるほどに。
かと言って活字中毒な読みにくい作品でも無く、スラスラと物語に引き込まれていく様はなんとも親しみが持てます。
まだ序盤ですが、これからどう展開していくのかとても楽しみにしております。
これ、本当にお勧めです。ぜひ多くの方に知って頂き、もっともっとメジャーになってほしい一作であります、是非。