魔界幻想−Lycanthrope tales−

胡蝶飛鳥

1章 The beginning

−序– Prologue

 はじめに。

 これから紡がれる物語は殆どが魔界での出来事だ。そこがどういう場所であるか、ある程度説明しよう。


 東洋に妖怪と呼ばれる者達がいるように、西洋にも魔物と呼ばれる者達が存在する。

 「魔獣ビースト」「生屍アンデッド」「獣人セリアンスロープ」「ドラゴン」のうちどれかに分類され、四つの分類は四族と呼ばれていた。

 舞台ここは一応英国だが、彼らは人間とは別の場所、魔界で「掟」を守り暮らしている。


 一、人間には危害を加えない。

 二、人間との争いを起こさない。

 これらを犯した者は、「堕ちたシュヴァルツ」という存在へ変化する。

 理性を失い、知能を失い、ただ本能だけが、体を動かす原初の姿へと変貌する。


 ーーーそれが魔物達に課せられた「ルール」。


 その掟を破らないように、秩序を保つ役割を担うのが「支配者」という存在だ。


「魔獣」の支配者、人魚セイレーン

「生屍」の支配者、吸血鬼ヴァンパイア

 そして、「獣人」の支配者、人狼ライカンスロープ


 さらにその上の位、大支配者というものが存在する。ちなみに、大支配者の種族は特に決まっていない。推薦や立候補から選ばれるんだ。


 ああ、竜族はどこに行った?という疑問が出てきただろう。彼らはどの魔物よりも強大な力を持っていてね。

 それ故、絶対中立を守り、魔界が危機に晒される時の防衛機能的役割を担っているのだ。

 だから、彼らは滅多に地上に降りてこない。いつもは山の頂上か、天から下を見張っている。

 ……というのが表向き。はっきりいえば、独裁出来ないように私が王都から追い出したんだけどね。その話はまた別の機会に。



 さて。お分かりいただけたかな?まあ説明だけでは不明な点もあるだろうが、追々わかると思う。

 ーーーー魔界の話はこれくらいにして、そろそろ眠るとしよう。まだ覚醒には少しばかり時間を要するのでね。

 え?私が誰かって?

 それもそのうち分かるとも。

 ではまた、私が目覚めるその時まで。


          語り部 ◼️◼️の魔◼️

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