第7話 可愛い幼馴染
サーシャが持って来てくれたのはサンドウィッチだった。
野菜の切り方が拙いせいで、形がバラバラだったが、そこがまた頑張った感が出ていてとてもよかった。
「どう? 美味しい?」
「…………まずいって言ったらどうする?」
「え、そうなの……? 私、頑張って作ったのに……」
そうしてサーシャは今にも泣きそうな顔をしながら俯いてしまった。
少しサーシャのことをビビらせてみようと思って冗談を言ってみたところ、予想以上に落ち込んでしまったので、俺は急いでカバーを入れた。
「冗談だよ、冗談。めちゃくちゃ美味しい。俺のために頑張ってくれてありがとな」
「ホントに!? わーい、アッシュくんに喜んでもらえた!!」
「よかったね、サーシャちゃん。あと、アッシュ。冗談でも女の子が自分のために作ってくれたものに対して、不味いなんて言うのはダメだぞ」
「わかった。次からは気をつけるよ」
意地悪をしてしまったことを反省してはいるが、そんなことよりも俺は俺の態度に一喜一憂してくれるサーシャのことが可愛くって仕方がなかった。
(前世の時はあいつばっかりが褒められて誰も俺のことなんて見てくれていなかったのに、今やこうして俺のことを見てくれた上で素直に感情を表現してくれる子がいるっていうのは本当に嬉しいことだな)
思わずサーシャの頭を手で撫でそうになるが、サンドウィッチを食べたせいでパン屑がついた手で撫でるのもどうかと思い、我慢することにした。
「そういえば今日はどうしてこんなに 作業が終わるのが早かったの?」
「今は夏野菜の収穫期だし、収穫がなかったら水やりぐらいしかやることがないんだよ」
「えー、せっかく手伝ってあげようと思って来たのに」
俺がそう言うとサーシャはいかにも不満そうな顔になった。
作業を手伝ってくれようとしたことはありがたいが、もうすでに終わってしまったことなので、これからどうしていいのか分からず困っていると……
「それは悪いことをしたなぁ……そうだ! アッシュ、せっかくだからサーシャちゃんと一緒に遊んできなさい」
「……そうだね。せっかく来てくれたことのお礼も込めて、そうすることにするよ」
「え、アッシュくんと久しぶりに遊べるの!?」
俺が父さんの畑作業を手伝うようになり、その余った時間も別のことに使うようになったので、最近はサーシャと一緒に遊ぶことも少なくなっていた。
そのせいでサーシャは寂しい思いをしていたみたいで、最近では会うたびに一緒に遊ぶことをせがまれていた。
「アッシュくん、早く早く!」
「落ち着け、サーシャ。時間はたっぷりあるから」
遊ぶと決まった途端、サーシャは俺の父さんにバスケットを預けると森があるに向かって走り始めた。
「夕飯までには帰ってくる!」
「おう。しっかり遊んでくるんだぞ!」
そう言って俺はサーシャを追いかけて森へと向かった。
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こういうのってなんかいいよね……
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