第10話 反転せし、破壊の人魚。
マナ「ここ……は……?」
私は謎の装置に縛り付けられていた。
男「おやおや、お目覚めになりましたか、あれほどの瘴気を浴びせたのに、流石は水魔王の血を色濃く受け継ぐだけありますね。ここは?という質問でしたね、ここはオーシャル城の研究室ですよ。」
私は周囲を見渡そうとするが、明かりはなく、何か頭に付けられていた。
男「素晴らしい結果でしたよ。貴方のその
マナ「貴方は一体、何を考えているの?」
男「言ったでしょう、生贄にすると。まあ、こき使った後の話になりますが。」
マナ「こき使う?」
男「えぇ、貴方を使って、ある憎き組織を破壊するんです、それもあのお方の為。」
あのお方って誰?そんな疑問を持ちながら、私を眠気が襲う。
男「少々話しすぎましたね、まぁいいでしょう。あなたの意識は時期に消えるので、そう大した問題でもないですから……」
意識が途切れて私は眠る。
私の中から何かが変わっていく、自分が自分じゃないみたいな感覚に襲われる。
自分を真っ向から否定するような存在が私の目の前に立っていた。自分であって自分ではない反転した私が。それが私に話しかけてくる。
マナ「貴方は?」
私?「俺はお前だ。この身体の主導権が俺に移ったんだよ、今までお前に制御されてた鬱憤がようやく晴れると思うと爽快だね。」
マナ「私は何も制御なんて……」
私?「嘘つくんじゃねぇ、してただろ。俺を抑えつけて、「大丈夫」だなんて嘘つきまくってたクセに!」
また私の意識は遠のいていく、そして夢を見る、あの私を作り出したであろう、過去の記憶を。
8年前オーシャル城
私は小さい頃から魔法の才があった。その実力はオーシャルの中でも10歳ながらに1番と言えるほど、だから父上は数多くの魔術師を雇って私に稽古をした。
マナ「できました。」
魔術師たち「すごいじゃないか、10歳なのに既に高い威力を出せている。」
褒められてはいたが、それは
12歳ごろにギルドに登録をして、自分の力を知ったが、国の研究者たちが私の力を欲して、秘密裏に過酷な人体実験をさせられた。
研究者a「この力があれば、他国に戦争を仕掛けても圧倒できるはず。」
研究者b「そうですね、この子を基盤とした兵器、魔導兵器の制作もできれば!」
研究者c「オーシャルが再び世界をとる日も近いですな。」
そんな日々が続いて、私はおかしくなっていたのかも知れない、父上を心配させないために「大丈夫」って毎日必死に嘘をついて、自分を騙して、心が少しづつ壊れていって。
私は逃げ出した。
これで良かったのかもしれない、これが悪かったのかもしれない。それはわからない。
私は国を出て無我夢中で走った、ズタボロになりながら走った、あの日々を思い出して泣きながら走った。
森に入って、野宿をした。暗い森の中私は魔物に襲われた。身体が
そこにあの人が来てくれた。
見ず知らず私を魔物たちから救ってくれた、育ててくれた。今日という日まで私を見守ってくれた。
幸せな時間が流れた。
ある日、浜辺に男の人が流れ着いていた。
変わった服を着ていて気になった。できる限りのことをして彼の目覚めを待った。彼は私に気付くと頬を赤らめて飛び起きた。ちょっぴり可愛かった。
楽しかった。
もうあの人たちの顔を見ることができないのか…
だって私は、今はもう…………
自分が自分じゃ無くなってるんだもん。
もう一度、あの人たちと過ごしたいな…………
オーシャル城 研究室
そこでは着々と魔導兵器が完成しつつあった、マナが眠りにつき魔導兵器の基盤として定着し、最終確認を終え魔導兵器が動きつつあった。
研究者1「マナ・オーシャルの魔力安定、魔導兵器=パンドラとの接続を確認。」
研究者2「マナ=オーシャルの
マキア「えぇ、貴方の力使わせていただきます。ご安心ください、これも全てあのお方の復活のために。」
マキアがマナに触れ残留思念を注入する、それに侵された者はあのお方の意のままになる。
マナの意識は隠れ、抑えつけていた者が顔を出す。それは目覚めると同時に研究者たちの首を刎ねる。髪は黒と青のメッシュに変わり、邪悪な笑みが浮かぶ。
マナ?「お前か、俺を呼び出したのは。」
マキア「えぇその通りです。どうですか、世界は?」
マナ?「あぁ、最高で最悪だ!今すぐにでも全部ぶっ壊してぇ!!!」
マキア「ならば、私達と一緒に壊しましょう。この世界を!新たなるマナ=オーシャル、いや、厄災魔導兵器パンドラ。」
パンドラ「アハハハハ!最高じゃねぇか、いいぜ。あんたの誘い、乗ってやるよ。」
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