第5話 召喚されしもう1人
これは海風槍太が異世界漂流する5年前に召喚された、厄災伝説に伝わる神により選ばれたもう1人の主人公のお話である。
ランド大陸中央王国デトリアでは日々厄災に対して研究が行われていた。その訳は古より伝わる伝承が関わっていた。厄災は古くから100年ほどの周期で訪れ、文明を破壊していったという、だが王国の記録によれば厄災が最後に訪れてから既に1000年以上も年月が過ぎていた。
厄災の本体の封印はそれよりも前に完了し100年周期に訪れる厄災は本体の残留思念でありそれが年々弱まっている事が判明しているが、最近になって保管している残留思念の魔力量が増え、厄災の復活する可能性が出てきたので平年に比べ研究が活発になっている。
デトリアでは厄災以外にもう一つ伝承がある。それは厄災を封印したとされる神に選ばれし英雄レオ=モードリスと勇者パーティそして、魔王の伝説である。厄災の復活を阻止するためデトリア王は1人の人間を5年前に古より伝わる魔法により召喚した。
「来てくださったんですね。」
「あぁ…来てやったぜ。私は
「女神ミダイヤに会われたのですか⁈」
「まぁな。」
「そうでしたか。では今の厄災の現状も?」
「ある程度は教えてもらった。」
「左様でしたか。ではご協力を?」
「あぁ、よろしく頼む。」
とは言ったもののこれからどうするかねえ。私は転移する少し前の事を振り返る。
「ねえ、明日肝試し行かね?確かみんな授業なかったよね?」
「で、どこ行くん?場所によってはパスで。」
「岡山は来る?」
「おうよ!と強気に行きたいけど、私も肝試しはちょっと。でも、2人が行くなら行くけど…」
そうこの時はまだこんな事になるなんて夢にも思わなかった。
この話をした翌日私たちは、地方で有名なトンネルに向かった。そのトンネルは古くから神隠しにあうと伝えられる山に作られたものだった。
「じゃあ、こっからは単独でトンネルを一往復ね。逃げ帰ってきたら次ご飯奢りね。」
「オッケー。」
「上等だぜ。」
友達が次々とトンネルに入って一往復して戻ってきた。
「次は岡山ね。」
「パーって行ってくるわ。」
トンネルに入り奥まで進んでいく、不思議と圧迫感が無く、肝試しトンネル内とは思えないほど空気が軽い。そろそろ出口だろうか?奥の方に光が見える。私はそれに近づいていく。私は妙なことに気づく。光が向こう側から向かってくる。だけど私はその時自然と体が受け入れた。これは悪霊とか妖怪だとかそんな悪いものではなく、自分に助けを求めているように感じだからだろう。
「ナデシコ遅いね。」
「もしかして本当に神隠しにあったんじゃ?」
そんな会話が耳に入る、が、その時には既に私は。
ミダイヤと名乗る神様に会っていた。光だけで容姿は見えなかったが、声は伝わってきていた。女の子らしい可愛げのある声だった。彼女?は厄災っていう悪い奴を倒すのを協力してもらうために異世界転移に適性がある人を探していたそうで、都合よく神隠しできるのが私だったそう。
「何か望みはあるか?我の都合で召喚しちゃったわけだし。望むものを与えよう!」
「異世界に転移をするって事は言語とかは大丈夫なのかよ?新しく覚えれるように努力するとかはやだぞ。」
「安心して、異世界に転生したり、転移する人たちは自動的にその世界の言語を理解したりできるようになるから。」
「じゃあ、痛いのやだから防御力神UPみたいなやつない?」
「
「いいですか⁈私好みのもの貰っちゃって!欲を言っちゃうともっと欲しいんだけどダメか?」
「ダメというか無理じゃな。私は神ではあるが万能じゃないんだゴメンね。」
「なんかゴメン。まぁそれだけ有ればいいか。」
「準備はもういいかな?幸運を祈ります。いってらっしゃい!」
で今に至るんだけど……こっからどうしよう。カッコつけて「神ミダイヤの命の元召喚に応じた。」といったはいいもの厄災についての手掛かりは神様も無いって言ってたし。
「ナデシコ殿を部屋に案内しなさい。」
「はっ!ナデシコ様こちらです。」
案内された先は何かクリスタルのような物が部屋の中心に鎮座している。兵士によると国が所有する大型の
私はさっそく
《
その後私は客室に案内された、流石王族と言わんばかりの豪華な客室、日当たりはよく、景色もいい、何より化粧台まである!というか、どう見ても化粧台が元いた世界のデザインにそっくりである。異世界転生か転移した人でこういった物に精通している人でもいたんだろうか?
そんな事を考えていると兵士からギルドカードが渡された、確認するとメールが一つ来ているまだ誰とも連絡先を交換していないのに…。
〜ギルドカード〜
【メール】①【ステータス】
【依頼】【ギフトボックス】
【地図】【図鑑】【写真】
神様からメール⁈
【メール】ミダイヤ
(ハーイ元気してる?これを見てるってことはギルドカードは渡されたのかな?私は直接あなたに会話はできないけど、これを使えばサポートはできるから必要になったらメールしてね!)
必要になったらメールしてね!かあ……
そういえばこの先何すれば良いんだろうか?聞いてみるか。
【メール】ミダイヤ
(何すれば良い?)
(多分王様の方から依頼みたいなのはくると思うよ、こっちから見ている限りはね。)
(こっちから?)
(私たち神様は天界ってところから地上を見渡せれるの)
(じゃあ、厄災の行方とかはわかるの?)
(それはできない、この権能は人間たちを観察する為にあるもの、厄災とかは
(ありがとう、とりあえず部屋でのんびりする)
部屋でのんびりすると言っても特に何もないんだよな、娯楽品に関しては何もない、強いてあるならビリヤードとダーツが部屋にあるけど、1人でやってもつまんない。
「デトリア王がお呼びです。」
連れて行かれた先にはいかにも王の間ッ!て感じの玉座に座ったデトリア王がいた。
「部屋のほうはお気に召しましたかな?」
「あぁ、なかなかいい部屋だった。」
「それはよかった、では、本題に入ろう召喚者ナデシコよ、其方はこちらの世界に来てからまだ浅い、剣術や魔法に関する知識や経験も浅かろう、よって、其方にはまず、この国の把握、そして、王国の騎士団、魔術師団の訓練に参加していただきたい。」
「わかった、だが、いつ訓練をするんだ?」
「其方のギルドカードにメールが届く、その時になったらギルド区の兵士育成場まで行ってくれ。」
「ギルド区?」
「説明しておらんかったか。このデトリア王国は商業区、生産区、娯楽区、ギルド区、住居区に分かれておる。商業は主に生産区で生産した物などを販売しておる、生産区は農業から魔道具の作成まで多くの生産品を作っており、娯楽区は力の大会や賭け事が盛んに行われ、ギルド区には、軍や冒険者たちの修練場や、教会、ギルドなどがあり、住居区は名前通り多くの国民や兵士が住んでおる。」
意外だな……ここまで文明が発達してるとは!
まあ、娯楽に関しては力の大会や賭け事が主流なのか。手頃に遊べるような娯楽が少ないのもうなずける。
「では、よろしく頼むぞ。」
うーん、まずは区ごとに見ていくかあ。屋台とかってあったりするのかな?
私は最初に王城からすぐ近くにある商業区に向かうことにした。
色とりどりに様々な屋台やお店が並んでおり、どこもかくしも賑やっている。道具屋に鍛冶屋、さらには服や食料品まで様々なものが売られている、簡単な表現で表すなら横丁とでも言おうか賑やかさがまさにそれである。
そこで私は1つのお店に目を向ける。どこかで見たことあるようなそのロゴと雰囲気、明らかに元の世界にあった有名な服屋である。
むっちゃ気になる……入ってみるか!大様から資金としてこの世界の通貨をもらっているから、試しに使ってみるか。
扉を開け店の中に入る、店の中には、数多くの衣服が並べられ、奥の方にはレジまである。
「いらっしゃ〜い」
この聞き、なじみのある日本特有のご挨拶もしかして…
「おや⁈もしかして同郷者かな?」
「ハイっ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます