こんなゲームじゃ、メシも食えねぇ!

窓際希望

第1話

 これは少しヘンテコな未来の話。



===


国民総闘争―2090年現在、日本国内では大きなが起こっている。

 事の始まりは2040年代、時の内閣総理大臣の発言だった。


曰く、「ゲームをしよう」と。


 2040年代、技術革新が進み人間の職の9割がAIと交換可能となった。その結果失業者が急増。そこで国は異次元の対策を講じる決断をした。


 それが国民総闘争―通称、闘争ゲームだ。


 要は『働く環境がないなら、働かなくてよくね?』ということだ。

この考えこそが闘争ゲームの始まり。


 その考えは強い支持を得た。そして以前から準備をしていたかのように淡々と法整備が行われ、ゲームが始まった。



===


「くっ……俺の負けだ」


 今回のゲームはオセロ。そして結果は惨敗。盤面が真っ黒に染まったと言っても過言ではない(もちろん俺は白い方)


「まぁ運がなかったと思っとき。ほな、またなニィちゃん」

対戦相手が立ち上がると眼の前にあった仮想A Rのオセロ盤が消える。


 運が悪かった。言ってしまえばそうだろう。


 現在の闘争ゲームの主流は2ゲーム先取。互いに3つのゲーム候補を出し合い、その中からランダムでゲームが選ばれる。

それぞれが自身の得意なモノを候補に入れ、選ばれるかどうかは運次第。


ーー今回ーー

1ゲーム目:将棋  ギリ勝利

2ゲーム目:囲碁  ボロ負け

3ゲーム目:オセロ ボロ負け

ーーーーーー


 3連続で相手サイドのゲームだった。運がない――確率は………1/20?もしかして意外と高い?


 そんなことをうだうだと考えていると、手元の端末がピロンと鳴り、ポイントが減少したことを知らせる。


「はぁ……」

 俺の残りポイントは143。

 国から1ポイント辺り1,000円が毎月末に振り込まれるこのゲームのシステム。


 今月末までに俺がポイントを増やすことができなければ、

――143×1,000=143,000――

14万3千円の収入ということになる。

(因みにだが、2090年現在の物価は色々あって2020年代とほぼ同水準らしい)


 そう、俺―まゆずみ遥輝はるき22歳童貞は結構ギリギリな人間である。



===


 さてさて、月末が近づいてきた。

俺の所持ポイントは、というと……140ポイント…はい。あの後3回負けました。


 いや、勝てると思ったんですよ…


どうやら今月の俺の収入は14万円らしい。


 これなら働いたほうが……いや、俺はまだ!まだ、闘争家ゲーマーとして生きていきたい…


 さて今晩のメシは千切りキャベツかな…?




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こんなゲームじゃ、メシも食えねぇ! 窓際希望 @madogiwa_kibou

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