兄貴がロリータに挑戦するのを妹は応援します!
秋犬
序章
兄貴女装計画のはじまり
「なあ
夕飯時にいきなり訳の分からない質問をされて、私は味噌汁を飲み込み損ねた。ひとしきりむせてから私は目の前の天然クソボケ男――情けないことに私の兄、
「あのさあ、そういうどこから突っ込んでいいかわかんない質問はやめてって言ってるでしょ!」
「女に女の服について尋ねるのはおかしくないだろ?」
「そういうのは、まず前提が必要なの! ︎︎わかる? ︎︎ぜ・ん・て・い!」
「学校の昇降口の前の広場のことと何の関係があるんだ?」
「それは
はぁ……疲れるんだよなあ、この兄貴と喋るのは。
うちの兄貴は顔だけはいいので、昔からよくモテた。バレンタインの後はしばらくおやつがチョコレートだけになるし、私が知ってるだけで今まで彼女は4人いる。
しかし、そんな兄貴の天然と呼ぶのもおこがましいクソボケっぷりを間近で受け続けると愛想をつかすのか、彼女のほうからサヨナラしてくるらしい。本人曰く「一緒にいて苦痛を感じるなら、寂しいけど離れた方が得策なんだろう」なんだそうだ。
そういうところがダメダメなんだけど、わっかんないんだろうな!
「で、どうして女の服をアンタが着るの?」
「学園祭だ」
「それで?」
「女装のクラス代表に選ばれた」
は?
なにそれ?
「うちの学園祭では男女が逆の服装をするコンテストがあるんだ」
「へえ、それの女装代表?」
「そのようだ」
へえ、そういうことならわからないでもないかも。
うちの兄貴はとにかく顔だけはいい。
なんというのか、目はパッチリと瞼もくっきりとして髪もサラサラだしそれでいて細っこいからスラッとモデルみたいに見えることもあるし……。
一緒に街を歩いていると毎回何かしらの視線を感じるくらいにはかっこいい、いやかわいい。そんな兄貴に公式に女装をさせられる機会があるならやってみたいと思うのだろう。気持ちはよくわかる。
「それで、女の服について女に聞いてみようかと」
「そういうことなら早く言ってよ、全面的に協力するからさ」
「そうか、なら助かる」
兄貴は何やら頷いて飯をかっこんでいる。これでこの辺で一番頭がいい高校に行ってるんだから世の中よくわかんないよな……なんでこんな天然クソボケが勉強だけ異様にできるのか私にはよくわからない。
「学園祭はいつなの?」
「正確な日付は忘れたが、10月の連休だ」
なるほど、猶予は1ヶ月くらいか。
よし、この兄貴で遊んでやるか。
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