第32話



「そうよ。悲しい事があったのよ。この前、犯人が捕まったと言うニュースが報道されていたけど。

瞳ちゃん、殺されたの。・・・・・

本当に悲しかったわ。」

と、今までの元気がなくなったみたいで、急に悲しい声になった。


「殺された?この女性が。名前が瞳さんて言うのですか?

名前が・・・・」

僕はあの時に感じた違和感が解ける想いがした。


「それで、この男性が修さんですか?」

と、聞いた時、僕の震えは止まっていた。


「そう、この人が修さん。瞳ちゃんのお父さんよ。

昔は、腕の良いカメラマンで、何度か賞も取っていたみたいで、

個展も開いていたのよ。

そのカメラでも撮っていたわ。

私も若い時、撮って貰ったのよ。

ヌード写真を。」

と、自慢気に言ってきた。

今の彼女を観たら信じる事は出来ない想いだった。


「そうですか。腕の良い写真家ですか。

本当に、この男性は亡くなっているのですか?」


「そうなの、修さんね・・・娘さんが殺されてから、・・・

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