第17話

シャッターを押した。ただ何も見えていない被写体に目掛けて写真を撮る事は、初めての経験であった。


私はひとたびカメラを持つと人格が変わる。

特に、被写体を目にすると廻りの事が気にならなくなる。

今回は被写体が自分の目で見えない為、より強く集中しないといけない。

段々と私の集中力が増してきた。

霊達がそうさせるのだろうか?


その時である。

「キャー」と云う女性の悲鳴

そんな、悲鳴ぐらいは何も気にならない

私は夢中でシャッターを押す


「殺してやる」と、男の声

そんな脅しでビビる、俺様では無い!

と、三度目のシャッターを、押す


被写体は見えてはいないが、私には感じる。

霊達が私のレンズを見ている事が!

長年のカメラマン人生で培った実力は嘘では無いはずだ。


……さっきの悲鳴と男の声は何だったのか?……

解らないまま、私はシャッターを押し続けフィルム全て撮りきった。

……何が写っているか解らないが明日、現像しに行こう。写真が楽しみだ!……

帰り道も、タクシーが拾えず歩いて帰った。


次の朝のニュースで、⭕️⭕️公園で殺人事件があった事を報じている


……そう言えば、私はそこに居たな。……

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