第12話

このカメラで写すと、何かの手掛かりが写るかも知れない。

と、私は期待しているんだっ、ぞ!」


「何かの手掛かりって、何ですか? 犯人の人が写るとかですか?

そんな馬鹿な事は無いでしょう。

写る訳が無い。」

と、僕はきっぱりと否定した。


「君には未だ言っていなかったが、・・・・・」

と、店主は、ここで言葉を止めた。


「何ですか?僕に言って無い事って。

言ってくださいよ。気になるでしょ!」

と、懇願する僕の言葉を無視するかの様に、


「まあ、そのうち判るよ。今云うと君が怯えるかも知れない」

と、あっさりと言う。


「ちょっと待って、チョット待って。言ってくださいよ」

しつこく懇願する僕を差し置いて、

店主は請求書を出して来た。

現像代 二枚100円

写真代 二枚300円

合計(税込み)440円   であった。


僕はお金を支払い、店主の顔を恨めしげに見た。


「そんな、瞳をして見つめないでよ。

今度心霊写真が撮れた、絶対にカメラの賞を取ること間違い無いよ。知らんけど」


と、相変わらず能天気だ。


そんな店主を横目で見ながら、僕は帰宅の途に着いた。

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