第2話

「新しくは、見えないです」

と、遠慮がちにつぶやく様に言った。


「そうかい、お客さん。面白い物見せてやろうか?」


「面白い物ですか?ど、どんな物ですか。」

と、言葉が泳いでいる。

別に期待しているのでは無いのだが、

何か卑猥な事を期待している僕だった。


男は、ガラスのケース箱から一台の古そうなカメラを出してきた。


最近のレジタルカメラではなくフイルム式のカメラである。

「お客さん、このカメラは優れ物だよ。」

と、嬉しいそうに私の顔を覗き込む


……騙されてはいけないぞ!……

と、僕は自分に言い聞かせて

「どう優れているのですか?」

と、怪訝そうに聞く。


フフフと😆笑いを堪えるかの様に店主は言う。

「これはな!」


「うん、これは」と相槌を返した


「これは、霊を撮れるカメラだ!

世界にこれしか無い!」

と、自信をもっているのか、真剣な眼差しである。


そのカメラには「霊を写せるカメラ」と銘打たれたステッカーが貼ってある。


……嘘くせい。こんな眉唾物信じられるか!……

と、怒りに似た感情が湧いてくる。


「嘘だと思っているだろう?

私は嘘などつかない、正直者だ」

と、目は真剣そのものだ。

その真剣な眼差しに私は負けてしまう。


「これってお幾らですか?高かったら買う事は出来ませんが。」

と、買う意思を示してしまった。


「これは、売りもんじゃねえよ。」

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