第14話 次の計画。

 朝食の後片付けの後に居間に戻ると


「ひなたが緑色のスポンジを買い込んでる」


 ひなたが朝から緑色の薄平べったいスポンジとなんか輪っかとハサミに囲まれている。



「こいつらは今から産卵床に生まれ変わります」


「あ! メダカが卵を産むのね!」

「そうなんです、もう腹に卵くっつけた子もいたので急いでます! 早くしないと親メダカ、普通に卵を食うので!」


 卵を食わずにちゃんと自分たちの仲間の子孫増やせよ。

 とは思うがそういう生き物なんだろうね。



『お手伝いしましょうかー?』

「ありがとう、リーフちゃんはじゃあハサミで切れ込み入れたやつをその輪っかに突っ込んでくれる?」

『ハーイ、お安いごようですぅ』 


「私はハサミ入れの方をお手伝いしよか?」

「あ、大丈夫です。もうすぐ終わるので先生は冷たい飲み物でもいれてくれたらな〜みたいな?」

「あらそう、氷入りのコーラでいい?」

「はい! 最高です!」



 そしてコーラを用意して、居間のテーブルに持っていくとひなたとリーフが話してた。



『すでに卵をつけてるのを捕まえてさっと卵をとった方が早くないです?』

「それはそうかもなんだけど、捕まえるとメダカにストレスだと思うから」


『では、妖精の私がやりましょうか』

「妖精相手だと怖がらないとか?」

『ニンゲンよりかは、手早くやれば大丈夫でしょう』



「あ、鈴先生ありがとうございます! ぞゃあ分かった! これ飲んでから卵を確実に取ろう!」


 そうしてコーラを飲んでから、ひなたとリーフは庭のメダカの卵をくっつけた個体を探して……


『おいでおいで〜』


 ひなたが、呼び寄せたメダカを、目の細かい網で、そっと掬い上げた。


 そこをリーフが素早く卵だけとってそれをキッチンペーパーの上に置いた。


「やった! ごめんね、お疲れ!」



 そう言ってすぐにメダカを池に戻し、作った産卵床も軽く洗ってから池に浮かべた。

 産卵床は全てスポンジがタコ足のウインナーの様な形状になっていた。




「ふたりとも、おつ〜」

「あざす! この卵は別の容器で……自室でしばらくお世話します。途中でカビませんように!」

「無事に孵化するといいねー」


「はい!」

『私が見事な針子にして見せますよ! 願かけで!』

「コロポックルにそんな力が!」

『た、多分いけます』

「多分かー、でも期待しておこう」



 そう言って、破顔したひなたは嬉しそうにメダカの卵を水道水と一緒に容器に入れてた。



「そこはカルキ抜きじゃなくていいの?」

「逆に殺菌効果狙いでカビが発生しにくい水道水まんまです。後でメチレンブルーも追加で入れますけど」

「へえ」


 あのタレビンに入ってた青い水か。



『鈴、トコロでお昼ご飯はなんですか?』

「喜べ諸君、焼き肉だ!」

「『やったーーっ!!』」


「原稿アップしたお祝いにお肉だよー」

「そういえば先日原稿を送ってましたね!」




 網の上でジュージューお肉を焼いていく。

 美味しそうな肉の油がしたたる。


 そう、今日のランチはお庭バーベキューだ。

 バーベキューセットは祖父母が孫が遊びに来た時用に用意してくれてたやつがある。



「その、肉だいぶ焼けてますよ!」

「そうだね。これはもう焼けてるかも」


 一つ肉をつまんでまな板にあげ、さらに3等分に、切り分けた。

 そして美味しい焼き肉のタレを添えて小皿に乗せて差し出した。



「ほら、この方が食べやすいでしょう、リーフはお口小さいから」

『ま、ママ……!』


「君のママではないが」


 思わず突っ込みつつもくすくすと笑う私。


「あはは、鈴先生親切ぅ〜!」

「普通だし」


 と、いいつつまた他の肉を育てる。

 リーフはハフハフ言いつつお肉を堪能してる。



「そんで今度は花火大会を見に行こうかと思ってるの」


 焼き上がった肉にタレをからませ、美味しくいただきながら雑談もする。 



「いいですねー、花火大会イベント!」

「イベントってつけると急に恋愛ゲーム感がある」

「あはは! 地元でもわりとでかめの花火大会ありますもんね」 


『私はカバンの中で大人しくしてるので連れてってくだしあ……』

「もちいいよ〜、皆で行こうね」



 その後はお肉うめぇ~! とか言いながら焼き肉を堪能し、デザートにはスイカを食べた。

 瑞々しくて甘い!


 これぞ、夏〜~って感じ!!








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