デン話番ゴうのかン視 -あなたの推理には横槍が刺さる-
梶津(カジツ)
第1話 情報量の少ない1文の宝箱
《度重なる推測と想像が生まれる時、すでに振出しに真相の手掛かりとなる芽が顔を出していることがある。》
「語尾に付く~です。の(す)を言う時、異常に空気が歯から抜ける音がする人いるよな」
そんなことを言い出す健と一緒に学校へ行くようになって一年が経つ。中学三年に進級して間もない頃からよく話すようになり、成績は同程度だったため、一緒の高校に進学することになった。
最寄りの駅近くにあるハンバーグ専門店へ健と二人で行こうと約束していたので、帰宅後すぐに家を出る準備をして、いつもの様に仏壇に挨拶をしてから約束の店まで走った。
「よっ、三瀬。また会ったね。」
言葉の軽さにしては空腹そうでせわしい様子だった。
「やはりハンバーグステーキ大盛に限るな。なあ三瀬、最近どう? 何かしてる?」
言われてみれば特にハマっているゲームやスポーツはなく、いつもダラダラとブルーライトを浴びる毎日だ。
「特に。てか、なんだか顔が硬いじゃないか。何かあったのか?」
いつもは息をするように開いていた口が今、ゆっくりと開く。
―お前、推理得意だったろ。
唯一の特技はこの推理だったことを今思い出したと同時に、必要以上に身構える自分が居た。
「うん、昔好きでよくやってたけど・・・」
”戦死したひいおじいちゃんのノートいっぱいに書いてあった6桁の数字は、毎夜かかってくる無言電話の番号と同じだった”
と、スマホに来たメールをそのまま読むように意味の分からないことを言い出した。
「一回聞いただけではよく分からないよな。これ、友達の真人から来たメッセージなんだけど。同級生の伊藤 真人(いとう まひと)を知ってるだろ? 素直で滅茶苦茶いいやつで。最近これに悩まされていて鬱気味らしいんだ」
「そうだったのか。正月に挨拶メールを送ったんだけど返信が来なかったのには理由があったんだな。」
再度話を聞き直し、私はさっそくある一つの言葉にひっかかっていた。
"ノートいっぱいの"
「これさ、変じゃない?なんで何度も同じ電話番号を書く必要があるんだろう。」
「確かに。よくある呪い、的な?」
推理好きの私とはいえ、霧が晴れないままハンバーグの会計を済ませ帰宅した。そろそろお小遣いの日が来るんだっけ。
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