守護霊に転生した流川
春野田圃
プロローグ〜守護霊の世界を解説〜
「このお話の世界は、一見日本という国に似ている。しかし一点だけ大きく異なる重要なポイントがある。それは、この世界では一人一人に『専属の守護霊』がつくという点だ。
その守護霊は被守護者が産まれると同時に出現し、その人が良い人生を送れるようにあらゆるサポートをしてくれる。
この守護霊には人型、精霊型、動物型など様々なパターンがあり、日々被守護者と行動を共にするのだが、正直謎に包まれた存在である。科学では解明できない存在が日常に溶け込んでいるのが面白い。
私は約50年前にこの世からおさらばした男、柳銀次郎(やなぎぎんじろう)。ビルの解体作業中に足場が崩落しそのまま亡くなった。
気がついた時には明るく開けた場所に横たわっていた。辺りを見回すと、いかにもな白装束で歩いている人々や楽しそうに走り回る犬、昼寝をしている猫。そしてなんかよく分からないクリーチャーみたいなのが辺りをウロウロしているではないか!彼らは皆同じ方向に向かって歩いていた。私はとうとう死んでしまったんだと腹を括り彼らの後を追うと、三途の川(たぶんそう)が見えてきた。
だが、何やら三途の川の手前に人の行列ができている。不思議に思ってその行列に近寄ってみると、行列の先には小さなテントが設営してあり、『守護霊講習受付』の文字!そこでいかにも堅物そうな七三分けのお兄さんが声をかけてきたのだ。
「守護霊候補生募集中です。どうですか?」
私はその時初めて、守護霊は自衛隊みたいに募集がかかるものなのだなあ、と知った。私は他にやりたい事もなかったし、三途の川を渡ったら現世との繋がりは完全に切れてしまうという。別に現世に未練があるわけではなかったけれども、ちょっと面白そうだったから守護霊を目指してみることにしたのだ。
城西警察署交通課に所属する流川翼(るかわつばさ)は真面目な男だ。勤務態度も良く上司からも可愛がられている。ちょっとクセが強い魚みたいな顔をしているが、そこもまたチャームポイントと言えよう。そう。この人物こそ、このお話の主人公であり、私が守護している人間なのだ!!!!!」
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