午
午の章1 最強魔法少女タトーと午のプーカ
五月九日の朝。
弱い雨がパラつく牧草地の中。
二百体ぐらいのプーカが草を食べながら歩いている。
そこの中心にタトーが、足を肩幅ぐらい広げ立っていた。
午の試練を受けに来たのである。
午の試練のルールは、これだ。
二百体ぐらいいるプーカの中から午のブラッサムを見つけ出すして、黒キ歌姫ノマイクを奪うのだ。
しかし、タトーはすでに、ブラッサムを見つける方法を考えていた。
「もし、ブラッサムなら、心の声が見えるはずね」
タトーは、昨日と同じ作戦を使った。
「モード『サトリ』」
タトーのパーカーはデザインは白い猿に変化。
そして、プーカの心の声を見る。
「うん…………」
(ヒヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン! )
「ううん? 」
何か変な心の声だ。
怪しいと思ったタトーは、真ん中より左のプーカの群れを見る。
(ヒヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン! )
(ヒヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン! )
(ヒヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン! )
(ヒヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン! )
(ヒヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン! )
「う、ううん? 」
次にそのまた左の群れ。
(ヒヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン! )
(ヒヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン! )
(ヒヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン! )
(ヒヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン! )
(ヒヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン! )
「うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん? 」
さらに左の群れ。
(ヒヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン! )
(ヒヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン! )
(ヒヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン! )
(ヒヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン! )
(ヒヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン! )
さらにさらに左の群れ。
「うん………………」
(ヒヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン! )
(ヒヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン! )
(ヒヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン! )
(ヒヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン! )
(ヒヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン! )
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! 」
(ヒヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン!!!!!!!!!! )
タトーは、周囲を見渡して混乱した。
プーカの心の声は全て、馬の鳴き声。
これでは、どれがブラッサムかわからない。
「うーん…………そうだ! 」
タトーは、次なる作戦を使った。
覚えたばかりの新しい魔法を使うのだ。
「モード『パーン』」
すると、白い猿のパーカーは、ピンクの羊のデザインに変化。
そして、右手を上げて呪文を叫ぶ。
「
すると、茶色いギターが現れて独りでに歌い出した。
「hu~~~♪hu~~~♪ra~~~~♪ra~~~~♪hu~~~♪hu~~~♪hu~~~~♪ra~~~~♪ra~~~♪ra~~~♪ra~~~~♪hu~~~~♪」
すると、柵の出入り口付近でプーカが変化を解いた。
午のプーカのブラッサムだ。
彼女は、柵に座ってタトーの方を見る。
そして、左手にある黒キ歌姫ノマイクで遊牧民のギターとセッションをした。
「hu~~~♪hu~~~♪hu~~~~♪ra~~~~♪」
「ra~~~♪ra~~~♪ra~~~~♪hu~~~~♪」
「rarara~~~♪hu~~~♪」
「hu~~~~♪rarara~~~~♪」
ブラッサムは、歌に夢中で試練のことを忘れている。
「hu~~~♪」
「hu~~~♪」
「hu~~~~♪」
「rarara~~~~♪」
「hu~~~♪」
「hu~~~♪」
「hu~~~~♪」
「rarara~~~~♪」
黒キ歌姫ノマイクの力だろうか?
ブラッサム以外のプーカも次々とハミングを始める。
「今がチャンス! 時空蕎麦! 」
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
黒キ歌姫ノマイクは、タトーの右手移動。
「ああ、これで、試練は終わりかぁ…………もっと、歌いたかったなぁ…………そのマイクは、タトーさんあげるよ」
「ありがとう! 」
タトーは、パーカーと軍服を脱いで全裸になった。
そして、黒き歌姫のマイクを両腕で抱きしめる。
すると、マイクは、みるみると小さくなって消えていった。
「吸収完了っと! 」
タトーは、午の試練をクリアした。
十二器制覇まで、後六器。
「……うん…………よし…………」
「ううん? 」
丑のミノタウロスのラクトが、大剣をもってプーカの牧草地に入ってきた。
「今から、丑の試練だ。服を着てくれ。ルールは、それから教えてやる」
どうやら、丑の試練のルールを考えていたらしい。
果たして、どのようなルールなのだろうか?
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