坤編
申
申の章1 最強魔法少女タトーとサバライ国の不思議な法律
五月五日の朝。
タトーとナナレイは、サバライ国の関所にやって来た。
青い空の下。
熱い風が、関所の前の竹林をユサユサと揺らしている。
「あっつぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……」
「ふふん♪」
「タトーさんは、平気なんだねぇ。さすが、最強魔法少女だよ」
「どうも! 」
「んじゃあ! 」
ナナレイが、ワンピースのポケットから小袋を出そうとしたその時。
「今、金貨を出そうとしましたね! 」
「え!? 」
青い屋根の部屋にいる猿娘が、黒い体毛をフワリと広げている。
どうやら、ナナレイの行動がわかっているようだ。
「ひょっとして、これが悟り族の魔法かしら? 」
「よくぞ、ご存じで。わたくしは、体毛を広げることで心を読むことが出来るのです。効かない方もいらっしゃいますが」
ナナレイが、小袋をポケットにしまって悟り族の娘に質問をする。
「ううん、けれど、何であたしが小袋を出すのを止めたの? 」
「実は、サバライ国はお金の代わりに、名前に『さ』がつくものを渡すとただで入れるのですよ」
「タトーさん。笹を取りに行きましょう!」
「ううん、待って! 」
タトーは、左腕を大きく後ろに振った。
「
黒い扉が現れて、タトーは部屋の中に入って行った。
十分後。
タトーは黒い扉から姿を現した。
彼女は、失敗を笑って誤魔化すような表情で六本の長い物をを持っている。
「ただいまぁ! 持ってきよ! 朝から多めに作りすぎちゃったあ! 」
手にしているのは、鮎の塩焼き。
しかし、『あゆのしおやき』と言う名前では、関所に入ることは出来ない。
「あのう。それは、あゆのしおやきですよね? 」
「ううん。『さ』かなのしおやきよ。ちゃんと、『さ』が入っているの」
「『さ』かなのしおやき? いいでしょう」
「ありがとう」
悟り族の娘は、別の悟り族にさかなのしおやきを渡した。
すると、ナナレイが話続ける。
「それと、悟り族の娘さん聞いていいかなぁ? 」
「はて、何でしょうか? 」
「あたしとナナレイは、サバライ国の申の悟りのトヨカワに会いに来ているだけれど、どこで会えるかしら? 」
「それでしたら、サバライ国の天守閣に行ってください。申の悟りのトヨカワは、サバライ将軍の部下でございます。もし、条件がよければ、申の試練を受けることが出来るでしょう」
「あ、ありがとう! ナナレイも! 」
「あ、ありがとう! 」
こうして、タトーとナナレイは、サバライ国の関所を通ることが出来た。
しかし、どうして、お金の代わりに『さ』のつくもので交換が出来るのであろうか?
それは、サバライ将軍が知っている。
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