第40話 半壊してた街

「ここら辺だと思うだけど」


 瑠華は自身がいる場所を周囲にある建物を見わたす。あまりこの場所まで来たことがない瑠華にはここが本当に目的の人物がいる場所なのかわからないために仲間の一人に確認をとる。


「はい、ここが八王子であってると思います。ただ自分も来たのはずいぶん昔ですし建物もほとんど残ってないですからあまり自信はないのですがあの建物は見たことがあります」


 瑠華と共にここまで来た一人がとある建物を指さす。目測でおよそ三百メートルは離れているであろうその建物は半分ほど崩れてしまっているがデパートのように見え、他何人かの仲間たちもその意見に同意している。


 場所がわかったこともあり瑠華は再び能力を使い周囲に人がいないか確認する。しかし、近くには人影らしきものはなく建物を挟んだ少し先にゴブリンが五匹ほど固まっているだけだ。


「あっちの方にゴブリンがいるっぽいのでとりあえずモンスターを先に処理しちゃいましょうか」


 瑠華がゴブリンのいる方向に歩き始めると他の人たちもそれに続く。ここにいる者たちは23区にいたモンスターを全て討伐した際にも参加していたためにゴブリン程度に怯える者はいない。むしろ薫たちを除いた中ではかなり戦える者たちを引き連れているためにそれぞれがモンスターに対して確固たる自信を持っている。しかし、その自身の源は自分たちの強さからではなく瑠華がこの場にいてくれるからということであり、ここにいるほぼ全ての人が瑠華の隠れファンであるが瑠華は未だ自分のファンクラブがあることには気づいていない。


◇◆◇◆



「どうですかね、ここらにはもうモンスターもいなさそうですし日も暮れてきました。そろそろ何処か休める場所を探しませんか?」


 ゴブリンをすぐさま倒した瑠華たちは日が落ちてきたこともあり今晩寝れそうな場所を探し始める。


 本来であればそこら辺にある家に入って一晩明かすはずなのだが何故かここら一帯はほとんどの家が倒壊してしまっているために中に入れそうな建物がなかなか見つからない。瑠華たちがどうしようかと話し合いをしていた時一人の人物が先ほどのデパートを指さす。


「あそことかどうですか?半壊してますがもう片方は割と残ってるし、寝ている最中に倒壊することもなさそうですよ。それにデパートなら缶詰めとかもあるかもしれませんし食料調達もできるかもしれません」


 その一言に皆が頷いたことで瑠華たちはそのデパートへと向かう。

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