その男も、要注意かもしれない②

崔 梨遙(再)

1話完結:820字

 カズヤ君、夜の街に僕等を誘う。獲物を狙う鷹のような目で周囲を見渡し、 ポルノ映画の劇場前で足を止めた。僕達は、嫌な予感がした。


「みんな、一緒に入ってくれへんか?」

「「「嫌!」」」

「そんなこと言わんと頼むわ! お願いや!」

「「「……」」」


 最悪なことに3本立てだった。3時間くらい拘束された。終わって劇場を出た。カズヤ君は言った。


「あんまり、おもろなかったなぁ」

「「「お前が言うな-!」」」


「ラーメンでも食いに行くか」

「「行こう、行こう」」


 でも、カズヤ君は言った。


「お金が勿体ないから、俺、帰るわ」

「「「お前が言うな-!」」」



 カズヤ君に呼び出され、僕等はまた夜の街へ。荒い息の、興奮状態のカズヤ君に、僕達は恐怖した。


 カズヤ君が足を止める。僕等はドキッとする。


「あれ行こうや、3900円ポッキリでスッキリ」

「「「行かーん!」」」

「ほな、あれは?3000円ポッキリでスッキリ、安いで」

「「「そういう問題ちゃうわ-!」」」

「カズヤ君、1人で行ってこいや、俺達、そこの喫茶店におるから」

「うわ、みんな行かへんの」

「「「行きませーん」」」


 カズヤ君はスグに戻って来た。


「あれ?早いなぁ」

「入場料3000円やけど、サービス料が別途必要らしい」


 カズヤ君の目は血走っていた。



「なあ、崔君。風俗行きたい」

「行ったらええやんか」

「風俗って、なんぼくらいするの?」

「1万5千円くらい、って先輩が言うてた」

「高いわ、俺、そんなに金無いわ」

「知らんわ、もっと安いところを自分で探せや」

「崔君、なんかええバイトないかなぁ?」

「コンビニでも飲食店でも、好きなところでバイトせえや」

「俺、浪人中やから、長期のバイトは親が許してくれへんねん」

「お前の家庭の事情なんか知らんわ」

「なんか、単発のええバイトないかな?」

「……」


 試験監督助手の単発のバイトを紹介した。1万円くらい貰えた。


「このお金に小遣いを足して、風俗行ってくるわ」

「好きにせえや」

「崔君もついてきてくれへんかな?」

「嫌!」







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