その関係が終わる時
峰白麻耶
終わりと始まりの関係
「ぐす…ねえ。また…ひっく会えるだよね?」
あの日を思い出す。小学校6年生になったばかりのまだ桜が残っていた珍しい春だった。小さい頃から…それこそ物心ついた時から一緒で遊んでいた幼馴染。
幼稚園も小学校も一緒でクラスが一緒だったり分かれることはあってもずっと一緒にいた存在。
この幼馴染という関係はずっと続いていく、そう思っていた時に降って沸いた別れ。
理由は両親の海外赴任。
俺の転校は突然決まった。
荷造りをしてと色々やっている間に時間は過ぎていった。泣きじゃくて両親に当たり散らかして困らせたことをよく覚えている。
この別れはどうしようもできない。そう思ってからは幼馴染とできる限りに遊んだ。
日が暮れて一緒の帰り道を歩くたびに別れの日が近づいて行く。
その日は一瞬でやってきた。
空港に見送りに来た幼馴染と家族。
「うん…。うう…会えるよ…」
最後の別れの言葉に泣きながら答えた。
「それじゃ約束」
そういって小指を出す幼馴染。
「うん」
小指を出し指切りをする。
それをしている間に涙は少し収まって、話す時には笑っていたと思う。
「またね、なるくん」
「またね、かの」
そう言って小指を離して別れたのが今から4年前。
そして今再び再会して学校生活をしていられるのは奇跡的といってもいいかもしれない。
篠宮 香乃
その名前は夕ヶ丘高校の普通科、商業科、国際科総勢二千人いるマンモス校の数ある有名人の一人である。文武両道…スポーツ分野、芸術分野でも著名人が卒業生にいる名の知れた高校だ。
そんな学校だからこそスポーツ、芸術関連で活躍する人は校内でその名が知れ渡るわけだ。
そんな篠宮香乃は幼馴染だ。
その彼女は両親の都合で海外に引越し帰って来れば、内気気味だった性格は変化し昔は肩までしかなかったふわっとした黒髪は今は腰まである。
帰国して久しぶりに彼女にあった時思わず二度見して、敬語になってしまい彼女に笑われてしまう程の変化だった。
身内贔屓みたいになるかもしれないけど、校内で一番の美少女だと思う。
自分が海外にいた三年間。その時間は彼女が変身するのには充分だった。
逆に俺はどうだ?………変わったと言えば、背が伸びたのと英語が話せるようになったくらいだ。その変化は彼女に比べれば些細なことで比較すると月とスッポンだ。
変わらないものもある、変わるものもある。
消えてしまう物もある、消えない物もある。
それじゃあ、幼なじみと言う関係は結局どうなるんだろう?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます