お隣さんとの関係

「く、ううう」


首と腰の鋭い痛みで目が覚める。目の前にはスリーブモードのパソコンと眠気覚ましに入れたコーヒーがあった。完全に眠気覚ましにならず寝落ちしたみたいだ。そう言えば今日も学校かと部屋の時計を見ると七時四十五分。普通の人なら慌てるだろうが、このマンションは学校に近いからこの時間でも余裕で間に合う。パソコンの電源を完全に切る。飲みかけの冷えたコーヒーを流し込んでキッチンに向かう。クロワッサンをトースターで焼いた後、新しいカップにカフェオレを入れる。できるまでの間は、ボーと空を見ていた。今日は、快晴。まあ、体育はないから今日の天気は関係ないんだけど。いや、あるにはあるか。自転車で行けるかどうかで俺の家から出る時間は変わるし。


そんな毎日考えているようなどうでもいいことを考えながら、焼きあがるのを待つこと二分。こちらが今日の朝食。クロワッサンとカフェオレ。ちなみにクロワッサンは俺が作ったのだ。いつもどうりにパンをむしゃむしゃしながら、テレビを見る。やっぱり朝はパンだよ。


こうしてゆっくり十五分朝食を食べる。食べ終わると、グラスを洗剤で洗い、さっさと学校に行く準備をする。トイレに行き、荷物を確認し、夜のうちに洗った洗濯物干す。それを終えて制服に着替えて時計を見れば、八時十分。自転車なら、十五分でつくから割と安全圏だ。とは言ってもあんまのんびりしすぎるとほんとに遅刻するから、少し焦りぎみに制服を着る。部屋を出てカバンを玄関に置いた後、戸締りの確認と電気の消し忘れがないから確認してから、カバンを取って玄関を開ける。天気予報道理の快晴で太陽の光が目に痛い。完全に引きこもりの発想、それか吸血鬼だと思いながら、歩く。隣の香乃の家を通り過ぎる丁度、ドアが開いた。家の中からでてきたのは、


「あら。おはよう、鳴海くん」

「おはようございます、翠さん」



香乃の母親であり、たまに夕食に招待してくれる篠宮翠さんだ。香乃が大人になったらこうなるだろうなと感じさせる容姿。ただし、髪は香乃より短いセミロングで、服装はラフな、tシャツの上にカーディガンを羽織っていてロングスカートを履いている。その服装は、柔らかな雰囲気にとても合っていて、とても俺の母親と同い年には見えない。ついでに言えば服装はのセンスも見習って頂きたい。研究大好き人間はそういうところには無頓着だからだ。


翠さんは、ゴミ袋を出しに行くのだろう。右手にゴミ袋を持っている。



「だいぶ出るのが遅いけれど、学校間に合うの?」

「自転車で行きますし、十五分位でつきますよ」

「そう言えば、そうだったわね。香乃のがいつも早く出てるから時間間隔がおかいしくなっているのかしら」


そう言ってふふふと笑っている。


「香乃は、朝練ですか?」

「そうよ。毎日頑張っているわよ」


そう言って俺の目を見る。


「気になっちゃう?」

「何がですか」


俺は、ジト目で見返す。


「香乃のことよ~。あの子かわいいものね。気になっちゃうよね。私なら目に入れてもいいくらい可愛いもの!」


前半は、俺が香乃の事をどんな感じに思っているかだったが、後半はただの親バカだった。それのおかげで前半の悩ましい質問をはぐらかす事が出来るんだが。


「確かに、可愛いですよね」


学校で香乃は、五本指に入る容姿だ。同級生に特に人気がある。俺から見て充分可愛い。


「ふふ。そういうことはちゃんと本人に言って上げないと。以心伝心なんてものは熟練夫婦でも難しいもの」


そんな事が出来るわけなかろう。恋愛経験値ゼロで恋愛ものは、想像で書いている俺には難題だ。話しているのが楽しかったからそう言えば時間は大丈夫かと腕時計を見れば、五分話していた。やばい、若干早自転車をこがないと遅刻する。


「そろそろ、学校行ってきます」

「あ、ごめんなさい・・とちょっと待って」


そう言うと、ゴミ袋を置いて家の中に戻って行った。一分もたたず出てきた翠さんの手には、水色のドットが書かれた袋があった。


「弁当袋?」

「そうなの。香乃ったら朝なんだかドタバタしていてね。それで置いて行っちゃったのよ。買い物ついでに届けに行こうかと思ったけど鳴海くんに会えたから丁度いいし届けてもらえない?」


その後小声で何か言っていたが、俺には聞こえなかった。


「まあいいですけど」

「良かった。助かったわ。香乃には私から言っておくわ」



何とも意味深な笑みを浮かべた翠さんから弁当を受け取ると、カバンをを開けて中に入れる。教科書はロッカーに置いているため、俺の弁当と水筒しか入ってなかったから簡単に入った。


「それと土日にでも一緒にご飯食べましょう。久しぶりに鳴海くんとご飯食べたいし」

「でも昨日香乃に、夕飯を作ってもらったばかりなんですけど・・」

「それは、香乃が鳴海くんが心配で好きでやったこと。私も好きで鳴海くんにご飯作ってあげたいのだから気にしないで。私たちと鳴海くんは家族みたいなものなんだから」


そういった翠さんはさっきとは打って変わって優しい笑顔を浮かべる。その笑い方は何だか香乃ににていた。気にするならクロワッサンをリクエストするわというところも似ていた。


「ありがとうございます。腕によりをかけて作りますね」

「楽しみにしてるわ」

「それじゃあ行ってきます」

「気をつけていってらっしゃい」



そう言って手を振る翠さんに身をくられ、俺は、小走りぎみに廊下えお走った。




お隣さんの篠宮家とは、仲良くご飯を食べ、今見たく雑談もし仲良くやっている。






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