第7話  ついに原作者と接触する


ハトノショ『何で主人公の名前を知ってるんですか? 小説投稿サイトで私の作品を見てくれてる人ですか?』


 ようやくハトノショからの反応があった。


マッモ『違います。俺がその山田やまだマモル本人なんです。あなたが書く作品と俺の人生がリンクしてるらしいんです。だから作品を書くの止めてください。もう何回も異世界転生してるんです。俺は現実世界で楽しく過ごしたいんです』


 間もなく、ハトノショから返事が来た。


ハトノショ『アンチですか?』


 ちげえええええええええええええええええええええよ。

 本人だっつってんだろが。


マッモ『これが俺の身分を証明するものです!』


 俺は掲示板に、なりふり構わず保険証の写真を添付した。

 しかしハトノショからの返事はなく、


名無しさん『個人情報きたああああああああwwwwwww』


名無しさん『はい魚拓取りましたwwww』


名無しさん『うわあ、人生終わりましたねwwww』


名無しさん『山田マモルくん、ね。これからネットの伝説になるなwww』


名無しさん『みんなで山田マモルを広めようぜwwwww』


名無しさん『明日から山田マモルって名前で書き込むわwwwwww』


 ここには腐った人間しかいねえのか?

 まあいいや、異世界転生しないためなら何でもするわ。


「……ん?」


 ハトノショから返事が来た。


ハトノショ『XXXXXXXXXXX←これ、私の捨てアドです。こちらにメールください』


 何かを感じてくれたのだろう。俺は早速、ハトノショのアドレスに送信する。


『信じてくれましたか? 俺が山田マモルってことを』


『はい』


『じゃあ直ちに書くの止めてください! マジで異世界転生しすぎて困ってるんです!』


『何回目ですか?』


『異世界転生の回数ですか?』


『そうです』


 ええと、ひかりよろいを貰ったログボの回数は……。


『11回です!』


 しばらく返事はこなかった。


『何でそれ知ってるんですか? 10回目と11回目は書きだめているだけで、まだ投稿してないですよ?』


『だから俺がその本人だから知ってるんですって! 信じてください!』


『……信じますけど、書くのを止めることは出来ません』


 何でだよ。出来るだろそれくらい。


『封印されし腕が勝手に動いて書いてるんです』


 中二病か。


『じゃあ百歩譲って転生しないようにしてください』


『それが出来たら苦労してません!』


 そうだったわ。こいつ書く主人公がかたくなに異世界転生してるって悩んでるんだった。


『分かりました。俺がアイディアを出してあげます!』


 数分間、返事は来なかった。


『メールだと伝わらないこともあるので、一度お会いしてみませんか?』


 やっと来た返事がそれだった。


『別に良いですけど、遠くに住んでたりしたらキツくないですか?』


『大丈夫です。私も山田マモルさんと同じ東京住みですから。しかも近くに住んでます』


『え、何で俺が住んでるところ知ってるんですか?』


『いやさっき掲示板に保険証を載せてましたよね?』


 そうだった。バカか俺は。


『あ、いや、今のはハトノショさんを試したんです』


『山田マモルさん、もしかしてバカですか?』


 はいそうですバカですよ。すみませんねバカで(ガチギレ)。


『じゃあ今から○○公園で会いましょう』


 近所の公園だった。ホントに住んでたのか、俺の原作者のハトノショがこんな近くに。


「ええと、この公園で待ってりゃ良いのか?」


 ホントに来るんだろうか……と思っていたら、


「山田マモルさん……ですか?」


 女子が話しかけてきた。振り向くと、セーラー服姿の女子がそこに居た。三つ編みで、黒ぶちメガネをかけている。


「ええと、そうですけど……」


「良かった……。私がハトノショです」


 ハトノショが女子という可能性を考えてなかったため、俺は面食らっていた。ちょっと可愛かったこともあった。


「どうも、ヨロシク。山田マモルです」


 女子は無言で、マジマジと俺の顔を見つめる。


「えーと、ハトノショさん? 俺の顔に何か着いてる?」


「いえ、私が描写した男子そのものだったので驚いて」


 容姿もハトノショが書く小説とリンクしているらしい。


「それで、山田マモルさん。異世界転生しないアイディアを出してくれるんですよね?」


「あ、ああ。ちょっとその作品を見せてくれないか?」


「うーん、書きだめてるのは自宅のパソコンにしかデータが無いので、まずは私の家に来てもらえますか?」


 ハトノショの家か……。

 でもなあ……。

 そこに行くまでに転生したら元も子もないし……。

 って待てよ……。

 原作者のハトノショと一緒に行動するから逆に安全か。


「分かった。案内してくれ」


「はい、私についてきてください」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る