第2話  転生しないための作戦その①


「あのー、カエルさん?」


「なんでしょうかゲロ?」


「俺ってどっかの世界で狙われてるみたいなのある? 今度は宇宙人に狙われたんだけど?」


「そのへんは安心してゲロ。マモルは何処の次元じげんでもただのモブだから」


 次元規模きぼでモブなの?


「さあどうするゲロ? 現実世界にカエルゲロ?」


「……いやまあ現実世界に帰りたいんだけどさ……。その前に作戦練って良いかな?」


「良いけど、諦めるのも手ゲロよ?」


「ワリいけど、俺の辞書に諦めるっていう言葉はねえんだよ」


「全然かっこよくないゲロ」


 やかましいわ。


「くそ……。帰ったらまず、どうすりゃ良いんだ……」


「あ! マモル! そういえば!」


 カエルはとても重要なことを思い出したようだ。


「え、何だ何だ? もしかして転生しない方法思い出したとか?」


「リオル・ダ・マオウフニャフニャは今ソロだからパーティーメンバー募集中ゲロ」


 だからリオル・ダ・マオウフニャフニャのことなんて聞いてねえっつってんだろがああああああああああああああああああああああああああ。


「今ならモブでもパーティーに入れてもらえるゲロよ」


 入らないから。


「まあマモルは中盤に役立たずになって捨てられるゲロ(笑)」


 なにその『(笑)』。超ウザいんだけど。


「よし、まあとりあえずいくつか作戦は考えついた」


「現実世界にカエルゲロか?」


「おう、やってくれ」


「分かったゲロ」


 パッと、舞台が現実世界の自室に戻った。


「よーし……やってみるぞ……」


 作戦その①『警察に相談してみる』。

 道中、色んなことに気を付けて、何とか近くの駐在所まで行きついた。


「あ、あの〜……相談事があって……」


「はい、どうかしましたか?」


 優しそうな男の警察官だった。この人なら何でも親身になって相談に乗ってくれそう。


「あのですね、最近、変な人? というか、組織? に命を狙われてて……」


 俺がそう言うと、警察官はムッと表情を硬くした。


「キミねえ、アニメとか漫画に影響されたか知らないけど、そうやって冗談を言いに来る所じゃないんだよここは」


 ……もっともだ……。


「いや、えーっと、でもその、そこを何とか(?)」


「帰りたまえ。何が『そこを何とか』だね。いい加減にしなさい!」


 なんかナチュラルに叱られたんだけど。


「くっ……。確かにふざけてるとしか思われないだろうな……」


 俺は駐在所を後にした。

 まあいい。次の作戦だ。

 作戦その――、


「くたばれ、仲間のかたきいいいいいいいいいい!」


 突然、黒い着物を着た二刀にとうりゅうの侍が目の前に現れ、俺に斬りかかってきた。


ひっ! さつ! じゅう! もん! !」


 りいいいいいいいいいいいいいいい! と叫びながら、侍は俺を『クロス』斬りした。


「ようこそゲロ」


 気づけば、俺はあの泉に居た。


(え、えええええええええええええええええええ?)


 作戦その②ってウッキウキで言おうとした時だったんだけどぉ。

 つーか何?

 仲間の敵?

 そもそも何で現代に侍が存在するワケ?

 百歩譲って何で俺の前に突然現れた上に斬りかかってきたの?


「さっきのお侍さんは仲間の敵に斬りかかるところでタイムスリップしてマモルに斬りかかったらしいゲロ」


 なんでそんな奇跡的なことが起こった上に奇跡的にタイミングが合うの?


「これで9回目ゲロ。ログインボーナスゲットゲロね」


 なにそのソシャゲみたいなシステム。


「これでログボ9回目の特典でゲーミングチェアが貰えるゲロ」


 いや要らねえんだけどマジで。


「次に来た時には届いてるゲロ」


 要らないから。


「……あのー、カエルさん?」


「なんですかゲロ?」


「まだ作戦はあるんだけど、カエルさんも俺が転生しない方法について一緒に考えてくんない?」


「嫌ゲロ。何でボクがそんなめんどくさいことを」


 冷たすぎない? 優しさの欠片も無いの?


「仕方ないな……。じゃあ現実世界に帰してくれ」


「分かったゲロ」


 パッと舞台は俺の部屋に戻る。もちろん上下青のジャージ姿で。

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