だから……何でまた異世界転生するんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
ハトノショ
第1話 避けられぬ運命?
まただ……。
また俺は、異世界転生した……。
これで7度目だ。
「くそ……何でだよ……」
1回目、トラックに轢かれて異世界転生←分かる。
2回目、工事現場の近くを歩いていたら上から瓦礫が落ちてきて異世界転生←分かる。
3回目、近所のコンビニで強盗に巻き込まれて異世界転生←まあ分かる
4回目、隕石がピンポイントで俺に直撃して異世界転生←まあ分からないでもない。
5回目、本屋で立ち読みしてたら本からワニが出てきて、食われて異世界転生←?????
「5回目だ……。5回目から強引になってんだよ……」
6回目、家で引きこもっていたらドラゴン(現実世界に居るワケねーだろ)が俺の部屋に突進してきて異世界転生。
そして今回(7回目)は宅配で頼んだカレーが爆発して異世界転生とかおかしいだろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお。
なに? 何でそんな異世界転生すんの?
どういう運命握ってんの俺?
別に異世界とか来たくないんだけど。
異世界で無双とかしたくないんだけど。
もういいから。
俺には明るいリアルが待ってるんだよ。
せっかく
こっから俺の青春物語が始まるって時にさあ。
何でそれを
「くっそおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
俺は目の前の泉に向かって叫んだ。周りに生い茂る木々が、それに呼応してシャワシャワ揺れる。
「ようこそゲロ」
不意に、後ろから話しかけられた。
そこには現実世界ではあり得ない大きさのアマガエルが居る。50センチくらいはあって、本当に気持ち悪い。
コイツの顔を見るのも7回目。
なんでもコイツは、この異世界に転生してきた者が最初に会う『チュートリアルガエル』らしい。
「ど、どうも……」俺は引きつった顔で言った。
「異世界で楽しむ? それとも……」
俺はこのカエルの『それとも』の先の選択肢を6回使っている。
「現実世界にカエルゲロ?」
この『現実世界にカエルゲロ?』を選択すると、俺の場合は現実世界の3月24日に戻れる。
が、今のところ、帰っても3月31日の夜11時59分までには必ず上下青のジャージ姿で異世界に転生してしまうのだ。
どんだけ家に引きこもっても、強引な運命が襲い掛かってきて異世界転生してしまう。
そう。俺はまだ、4月に入ることが出来ていないのだ。
「あ、あのー、カエルさん?」
「なんでしょうかゲロ?」
「もしかして俺がここに来たの初めてじゃないの知ってたりします?」
「はいゲロ。これで7回目ゲロね。知ってるっていうか、こっちの時間は進んでるからゲロ」
ああそういうことね。
「あのー」
「なんでしょうかゲロ?」
「異世界に転生しない方法とかってあります?」
「そんなの無いゲロ。人生は、いつ何が起こるか分からないゲロ」
確かにいつ何が起こるか分かんねえわ俺の場合。
「あのー、もしかして、俺ってこの異世界の救世主的な感じ? だから
「そんなことないゲロ。マモルはこの世界じゃモブみたいな役割ゲロ」
もうちょっとオブラートに包めないの? あ、紹介が遅れたけどマモルは俺の名前ね。フルネームは
「この世界の救世主はリオル・ダ・マオウフニャフニャだゲロ」
なにそのテキトーな名前。
「彼は今、序盤の盗賊と戦っているゲロ」
「へ、へえ……」
とりあえず、俺が転生する理由は、この世界の救世主だからというワケではないらしい。
「そろそろリオル・ダ・マオウフニャフニャが
いや聞いてませんし。
「あのー、じゃあ現実世界に帰してくれませんかね?」
「分かったゲロ」
パッと舞台は変わり、俺の部屋に戻った。
日付は3月24日。上下青のジャージ姿のまま。
「こっからだ……」
今回こそ、今回こそ4月まで転生しないようにするぞ。
ええと、まずは家に引きこもること。
それは大前提。
そしてドラゴンとか意味解んねえーのが来ても大丈夫のように、常に神経を研ぎ澄ませて――。
『ドガアアアアアアアアン!』
と、家に何かが衝突した。部屋が揺れるほどの衝撃。
「な、何が起こって――」
考える間もなく、俺の部屋にグレイと呼ばれる灰色の頭デッカチな宇宙人が入ってきた。
「アバヨ、チキュウジン」
言うと、宇宙人は銀色の銃で俺を撃った。ビーッという音と共に、俺の体は消滅した。
「ようこそゲロ」
気づけば、俺はあの異世界の泉に居たのだった。
(え、ええええええええええええええ?)
またああ?
しかも今回は瞬殺だったんだけど。
策を練る間もなかったんだけど。
つーかなんだったのアイツ?
地球に降り立つや否や最短ルートで俺を撃ってきたんだけど。
何なの?
俺を転生させる
そもそも何で当たり前のように宇宙人襲来?
俺の記憶だと現実世界には宇宙人とか居なかったはずだけど気のせい?
「これで8回目ゲロね」
ちょっと黙っててくんないかな。
「マモルみたいに見た目も存在感もモブみたいな奴が転生してくるのが不思議ゲロ」
なんでこんなナチュラルにディスってくんのこのクソガエル。
「そろそろリオル・ダ・マオウフニャフニャが
だからリオル・ダ・マオウフニャフニャのことなんて聞いてねえっつーの。
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