第24話 書くことについて①
幼い頃から、本を読むことも好きでしたが、とにかく「空想」することが好きでした。自分がいろんな世界に入っていったり(例えば、自分がこのお姫様だったらどうなるだろう、とか)、自分で好きなようにお話しを頭の中で作ったりしておりました。
そんな私に、それを実際に文章に書き起こす日がやってまいります。
あれは確か小学校2年生だと記憶しているのですが、国語で、「お話のつづきをかんがえてみよう」というような授業がありました。お話の中身は残念ながら覚えていないのですが、子鹿の物語だったような気がします。
私は、その場面を頭に描きながら、これからどんな冒険があって、どんな風に乗り越えて、最後はどうなるか考えて書きました。
本文を大きく超える、大作になってしまいました。
先生が皆の作文を読んでいく中、私の作文の量を見て、ちょっと笑いました。
でも、ちょっと(かなり)長めのお話は、皆の心を掴んだようでした。
お話が終わると、大きな拍手が起きて、皆が私の方を見ました。
「すご〜い!」「おもしろかった〜」と、称賛を浴び、物凄く恥ずかしがり屋の私は、ドキドキしながら、それでも嬉しかったのを覚えています。
また、何年生の授業だったか覚えていないのですが、「劇をつくろう」という課題で、私は、自分の班の脚本を担当しました。
それも、班の子たちの演技力も助けてくれてですが、皆にとても楽しんでもらえました。
こうやって、どんどん書くことが楽しくなっていきました。
小学校の時に、クラスに凄く作文の上手な子がいて、先生が、
「T君は1年生のときから、毎日、日記をつけているそうだ。だから文章を書くのが上手いんだなあ」
と言っていました。
それで、私も遅ればせながら、日記を書くことにしました。
その頃、都合よく、「班日記」というものが始まりました。3、4年生の時の担任の先生が始めたものなのですが、一班4人が日替わりで日記を書くというもの。面白い日記、よく書けている日記は、先生が「帰りの会」の時に読み上げてくれます。私の書いたものは、何度も読み上げて貰って、文章を書くことに自信が持てるようになりました。
勿論、班日記とは別に、自分の日記をつけていましたが、こっちは、当たり前に、他の人には見せておりません。
6年生になったばかりの頃でした。
私は些細なことで
虐められていることは、親にも言えません。一人で耐えるしかなかった。
そんな時、日記だけが、私の本心を知っていました。とにかく気持ちをぶつけました。書くことを知らなかったら、私は壊れていたかも知れません。
書くことは、私の精神をギリギリ保ってくれていました。
そのうち、その文章は、時々、詩のように書かれるようになります。
詩って、こんなに自分の中から勝手に生まれてくるものなんだな。そう思いました。
言葉は、どんどん湧いてきました。ノートにどんどん書いていくと、何冊もの詩集ができました。
中学生の時に知り合った、音楽をやる友達数人。その中の一人が、私の詩を見て、これに曲をつけたい。と言います。それは、私にとって、新しい試みでした。やってみたいと思いました。
ところが、曲がついたのは、私が書いた中でも最も暗い詩の一つ。明るい未来を望む詩の曲もあったのですが、暗い曲が気になっていました。
そして、それは、高校の時、県の高校生アマチュアコンサートで歌われることになります。彼は、作詞家として私の名前も言いました。一緒に行っていたクラスメイトや友達、知人の目が、一斉に私に注がれました。
私は
そこからは、自分の名前では詞を書きませんでした。
同じ部活の子二人に、夏休みの宿題で、詩を一つ書いてほしいと言われて一つずつ書きましたし、音楽選択の子に作詞してほしいと言われて書きましたが、絶対に私の名前はださないように、と。
ただ、残念だったのは、全国高校生文化祭の四国大会で、一番最初に読まれる詩を書いたのですが、それが、生徒副会長が書いたことにされたことです。これだけは、自分の背景はなく、本当に県代表の詩で、国語の先生も絶賛してくれていて、とても名誉なことだったので、ちょっとガッカリしましたが。
とにかく、そんな感じで、自分の名前が外に出るような詩は書きませんでした。
一方で、文章をつくることは、隠すことなく続けていました。
高校2年生の時は、クラスで1位の人だけが出せる作文コンテストで、クラス2位(泣)。いや、あの誰も考え付きもしないような文章には勝てる気がしない。
高校生の放送コンクールの脚本を依頼されたこともありました。これは、さすがに他の学校の子だったので、私の名前は使わないでとお願いしました。
結果は入選。因みに、うちの学校は3位でした。
大学、就職を経て、物凄い忙しさの中でも、日記は書き続けていたし(毎日ではない)、詩も時々書いていました。
けれど、結婚して。余りの酷い扱いを受け、私は。とうとう壊れてしまいます。
もう、詩も、文章も書ける状態ではありません。
そこから、どうやって立ち直ったでしょう?②に続きます。
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