第5話 革細工(レザークラフト)について

 入院し、作業療法で編み物などをしながら、実は気になっていた、革細工(レザークラフト)。

 皆とは離れた机の上で、トントンバンバンやっているので、音も気になるけれど、どんな物を作っているのだろう……と。


 革細工は、簡単に言えば、革(こちらでは牛革でした)を、財布とかキーホルダーとかの用途に応じて型を作り、色を付けて、縫い合わせて作ります。刻印で模様をつけたりもします。


 随分簡単に書きましたが、そんなに簡単ではないんです。私が作るのは、カービングと言われるもので、革にデザインを書き、刻印で模様を打ち込んでいくもの。


 まず、作りたいものをテキストから選び、設計図をトレースします。

 そこから革をサイズに合わせて切ってきて、周りのサイズをあわせ、切り取ります。

 専用の道具で、革に設計図にある模様を写し取っていきます。

 留め具をつける位置や、あとで糸で(私は革で)縫うので、その穴の位置も決めておきます。

 模様にカッターで切り込みを入れます。

 刻印(模様)を打ち込んでいきます。金属の棒の先に模様がついているのが何種類もあって、それを木槌で革に打ち込んでいくのです。そのまま打てば模様になるものもあるので、それを活用すると簡単にできます。私は、こまかいデザインを作りたいので、いろんな模様の刻印を組み合わせて。

 色を塗り、乾かしてから艶出しをして、留め具をつけて、縫い合わせたらできあがりです。


 作業療法は、毎日2時間ほどあったのですが、1つ作るのに1週間くらいかかりました。



 最初は、刻印を「バンッ!!」って強い力で叩く勇気がないんですよ。1回打ったら、もうそれが失敗でもどうしようもないので。

 自信がないんですね。もしくは、失敗したってまた最初からやればいいじゃん、とか、失敗のところからデザイン変えればいいじゃん、なんていう柔軟性がないんだと思います。


 これ、一見、精神科でやらないほうがいいんじゃないの? っていうくらい緊張するものでしたが、でも、慣れてくると、それが自信に繋がっていくんですよね。だけど、調子に乗ってバンバン早く進めてると、初歩的なミスを犯す。

 まさに、会社の仕事と同じですよね。どんなに難しいと思っていても、繰り返すうちにできるようになってくる。だけど調子に乗ってると失敗もする。


 なるほど、この作業療法って、社会復帰のきっかけなんだなあ、と、今の私なら思えます。


 

 革細工では、最初に小銭入れを。その後、キーホルダーを、それから、チョーカーやブレスレット、眼鏡ケース、最後にもう一度キーホルダーを作りました。


 革細工だけは、入院して初めて出逢った趣味でした。

 今はそれこそ道具も材料もないので、作りようがありませんが、ネットで小物が作れるキットなんかが売られているようなので、時間と気力体力があれば、やってみたいですね。


※近況ノートに写真があります。

https://kakuyomu.jp/users/hiyuki0714/news/16818093077226310630

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