ヤンデレ魔王様に捕まった平民の僕、何故か魔王様から愛の告白を受ける。
神月
第1話 魔物体質
「これで終わり!」
僕の幼馴染、シャルローネ────シャルは、そう言いながら炎魔法で僕たちに襲いかかってきた魔物を倒した。
……正確には、僕たちに襲いかかってきた魔物ではなく────僕に襲いかかってきた魔物だ。
魔物を倒したシャルは、呆れたように言う。
「はぁ、毎日毎日、魔物たちはどうしてウェンのことばっかり狙うのかな」
「そんなこと、僕が聞きたいよ」
僕は、今から十年前────五歳の時から、突然毎日のように魔物に襲われるようになった。
その理由がどうしてなのかは、僕にもわからない……ここまで統率が取れているなら、魔王軍の手先という可能性もあるけど、僕は王族でも無ければ貴族でも無く、公爵家の幼馴染を持つだけの平民だ……公爵家の幼馴染を持っている平民の人は少ないから希少性はあるのかもしれないけど、それを理由に魔物が僕のことを襲って来るとは考えづらい。
そして、魔物からよく狙われるから、魔物体質というとても不名誉な称号で呼ばれたこともある。
もう十年もそんなことを繰り返していればいい加減慣れて来ていたから、今更疑問を抱くこともしなくなったけど……改めて考えると、どうして魔物たちは僕のことを狙って来るんだろう。
僕が真面目にそう考えていると、僕の幼馴染で公爵家のシャルが口角を上げて言った。
「もしかして、魔物の中で結構モテモテだったりしてね〜!」
魔物にモテモテ……あまり考えたくはない。
「そんなことはないんじゃ無いかな?」
「でも、ウェンって顔はかっこいいし、魔力だってかなり高いでしょ?」
顔は……?……それはそれとして。
さっき真面目にどうして僕のことを狙って来るのかを考えようとしていた僕は、そのシャルの発言に対しても少し真剣に考えてみる。
顔がかっこいいから僕が狙われる……それはまず除外して良いはずだ。
僕の顔がかっこいいかかっこよくないかは主観でしか語れないから測りようが無いとして、そもそも魔物たちにそんな感覚があるとは思えない……そして、次に魔力が高いから狙われているという可能性。
実際、魔力が高いと色々と利用できて、実際に人間も魔力の高い人間を中心として魔法や道具などの研究を行っているから、魔力を狙って僕のことを攫おうとしているとかなら考えられるかもしれない……けど、それなら五歳なんてまだ魔力の成長段階の初期ぐらいの時に僕のことを襲う理由にはならないし、魔力なら僕よりもシャルの方が少し多いから、十年間もの間僕に固執する理由にはならない。
固執……そう、まるで魔物たちが、僕に固執している────けど、それを深く考える前に僕はシャルの言葉で気になることがあったので、そのことをシャルに直接聞いてみることにした。
「シャル、僕のことかっこいいって思ってくれてたの?」
「っ……!そ、そんなこと言ってないから!」
シャルは、慌てた様子で頬を赤く染めてそう否定した……言ってたけどね。
今の会話からもわかる通り、シャルは明るくて元気な女の子だ。
そして、容姿が優れている優れていないという話をするのであれば、間違いなくシャルは容姿が優れている。
綺麗な金髪に綺麗な青の目、そして日頃から運動をしているということもあってスタイルもとても整っている。
僕がそう思っていると、シャルは話題を変えるように言った。
「とにかく!やられっぱなしで居るのも今日までよ!ようやく魔法学校を卒業できたんだから、今日からはウェンのことを襲撃してるやつを探し出して今までの恨みを晴らしに行きましょう!」
「う、恨みを晴らすためかはわからないけど……そうだね、二人で一緒に探しに行こう」
「うん!」
シャルの言う通り、そんな襲われるだけの日々も今日で終わり。
今日からようやく、僕のことを襲ってくる存在を探すため、そしてどうして僕が襲われないといけないのかを知るための僕たち二人の旅が始まる────
◇魔王軍side◇
「────いつも通り、ウェンくんの元へ魔物を向かわせなさい」
言葉にできないほどの美貌を持った魔王が配下にそう伝えると、その配下は「はっ!」と返事をしてその場を去った。
「ウェンくん、私のことを探そうとしてくれるのは嬉しいわ……安心して、きっとすぐに会えるわ……あぁ、ウェンくん……」
◇
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◇
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