朝焼けのヴァウティショウ

エリー.ファー

朝焼けのヴァウティショウ

 目の前で輝く二人。

 虹色だったら良かったのにね。

 ねぇ、そうでしょう。

 朝焼けのヴァウティショウ。

 笑う暇なんてないよ。

 でも、笑ってよもっと。

 手を引いてくれる日が来るだろう。

 間違いないはずだよう。

 笑ってよもっと。

 笑う暇なんてないよ。

 いや、もっと。

 笑ってよもっと。

 置き去りになっていく暇が欲しいんだ。

 訪れるくらいに不幸を抱えていたいんだ。

 何もかも見えていない状態で嘘をついて。

 これから、ずっと。

 同じところを歩いていくとするなら。

 吹奏楽の言葉を借りて、肩を組んで歌う。

 弓を見つけた日々よ。

 これからの虎の声も。

 映画館では、いられないから。

 あなたと二人でいたいから。

 肌の色を確かめ合う時間が欲しいから、もっと。

 もっと、もっと、もっと。

 お願いの風を吹かせて下さい。

 笑う暇がないのだと誰かに叫んで。

 傀儡のような笑顔を見せて。

 寂しいからブルースがいい。

 ジャズはどうしても心に響いては来ない。

 何故か。

 こんな夜だから。

 吹奏楽の先輩が言っていた嫌いな夏が来る。

 汗が嫌いなんだって。

 僕は好きです。

 本当に大好きです。

 夏が。

 だって。

 クーラー最高過ぎませんか。

 悲しみを忘れて放置したラップトップ。

 黴が生えて来ないか不安で眠れない林檎を食べたい。

 あなたじゃない。

 私じゃない。

 苦しいだけじゃ、会話にならない。

 夏を見つめて消える。

 このまま幸せをもっと。

 このままの状態を維持して。

 幸せをもっと。

 幸福をもっと。

 骨になるような冷たい幸福をもっと。

 お願いだから。

 お願いだから。

 朝焼けのヴァウティショウ

 もっと笑って。

 笑い合って。

 悲しいと言い合って。

 ラップの一つも分からないまま音楽を聴きたい。

 ここから逃げないと。

 逃げてから考えれば大丈夫そう。

 お願いだから。

 この願いを聞き届けてくれたまえ。

 朝焼けのヴァウティショウ。

 僕を失っていたい。

 歪。

 歪。

 これは、いびつ。

 それとも、ひずみ。

 そして、大きな歪み。

 もっと笑って。

 もっとはしゃいでよ。

 お願いだから、もっと。

 僕を喜ばすように動き回って、もっと。


 遠くに見える一夜の愛。

 嘘をつくのも幸福の切っ掛けならば。

 いいじゃ御座いませんか。

 ねぇ、朝焼けのヴァウティショウ。

 俺が知っている自分のことを、見逃さずに語れるかどうかが全てじゃないか。

 なぁ、嘘を吐きだして今夜を創り上げようぜ。

 もしも、どこにも真実なんてなかったとしても。

 それが一番、愛しいってことに気付かなきゃいけないんじゃないか。

 どうして。

 どうしても。

 どうしてだろう。

 本当に一人で生きていくことができるなら、絶望の中に埋まっている方が余りにも楽しいと思いませんか。

 数字の打ち間違えで気づきを得ることが芸術には必要なのです。

 分からないのですか。

 そうですか。

 じゃあ、あなたじゃないんでしょうね。


 凍える唄を下さい。

 私の中に仕舞いこんで、死を招くようにします。

 鰯は、どこですか。

 探して冷やして雨に変えてみせます。

 誰も望んでいないようですけども。

 ほら、朝が来る。

 悲壮感の中に宿る自分ってやつです。

 小説を書いている。

 小説を読んでいる。

 小説を好きになることはない。

 芸術が好き。

 別に、何かを押し付ける気はないんです。

 本当です。

 ただ。

 あなたが押し付けられていると感じてしまうほどの強い言葉を好んで使ってしまうかもしれません。

 本当に。

 本当に。

 心から。

 ご愁傷様。

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