学校一の陰キャは外れスキル《熟練度99%》を使ってダンジョン探索をしていると、有名配信者を助けてしまった件~そしたら動画がバズりすぎて大変なんですけど!?~

@Soraran226

第1話 学校一の陰キャは辛い

 木村修(きむら おさむ)。17歳。

 

 俺は月島高等学校に通っている高校2年生。


 成績は普通で、とくに得意な教科はない。


 好きなことはゲームと読書。

 

 学校では一番の陰キャで、休み時間は基本ひとり。


 教室の隅で昼休みに食べるお弁当をもぐもぐと食べているのが俺だ。

 

 体は貧相で、運動は苦手。


 勉強も得意ではなく、テストの順位は毎回平均点くらい。

 

 クラスからは、完全に空気扱いされている。

 

 まさに、隠キャと言えるだろう。

 

 そんな陰キャを対象にしていじめてくるような人間がクラスに一人はいる。

 

 そいつはストレス発散で俺をいじる。


 無視するようないじめではなく、暴力を振ったり、物を隠すというような陰湿なものだ。

 

「おい聞いてんのかよ修、お前に無視されたせいで、俺、気分悪くなっちゃったんだけど?」

 

「い、いや別に」

 

「おらよ!」

 

 腹に一発、鈍い痛みが響く。


 俺は腹を抑えてうずくまる。

 

 こんなやり取りはもう毎日のことだ。

 

 和田哲也 (わだ てつや)。クラスをまとめる、リーダーのような存在だ。

 

 こいつは俺と違って、運動もできる。

 

 学業は普通だが所属している野球部では、打率の高い出塁と俊足で活躍している。

 

 イケメンで明るい性格もあってか、女子にはモテモテ。

 

 そんな神に二物を与えられた奴だ。


 どんなに俺が努力しても、瀬谷には勝てない。

 

 だから俺はこいつに反抗しない。

 

 逆らうだけ無駄だと知っているからだ。


 「もやし野郎のお前はこれくらいじゃ足りないよな?」

 

 そう言うとテツヤは俺の腹を蹴り始める。


 何度も、何度も俺に暴力を振るい続ける。

 

 ああ、もう辛い。早く授業になんないかな。

 

 最近は楽になるために死のうかなって思っているぐらいだ。

 

 そんな考えに頭を巡らせていると、丁度良いタイミングで教員が教室に入ってくる。

 

「ちっ、今日はこれぐらいで勘弁してやるか」

 

 哲也は俺にそう言い、自分の席に戻る。

 

 この生活がいつまで続くのだろうか。

 

 俺はそう思いながら授業を受けるのだった。

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