第3話 更に続きも書いてみる(断熱)
構造と構法が見えてきたところで、断熱方法も考えないといけない。建築の断熱方法には大きく三種類がある。外断熱、内断熱、充填断熱だ。日本の場合従来型のマンションだと内断熱が多い。これは外壁の内側に断熱材を入れるもので、コンクリートの場合には断熱材は発泡性で吹き付けたりする。
最近は外断熱工法も増えてきた。これは先ほどとは逆に外壁の外側に断熱材を貼り付けるものだ。充填断熱は木造の場合は一番多く使われるやり方だ。壁の中に断熱材を充填する。木造の場合木自体が断熱材なので成立するが、他の構造だとできないことは無いがあまりやらない。
構法を組積造としたので、内断熱か外断熱がいいだろう。壁を二重にして充填断熱という手もあるが、手間が倍かかってしまうし、壁が厚くなりすぎる。では内側と外側のどちらがいいかという事になる。内断熱の弱点は外壁の構造体自身が外気にさらされるので、夏は太陽光で温められるし、冬は外気で冷やされて壁そのものが蓄熱してしまう所である。
よくマンションなどで日中エアコンをつけて快適に過ごしていたのに、夜になると暑くて寝苦しかったりするのはこの内断熱の弱点のせいだ。コンクリートが太陽光で熱くなり、夜になるとその熱が部屋内側にしみ出してくるのだ。なので外壁材が蓄熱してしまう場合は外断熱の方が断然いい。
ではどうしてこの世界の建築物に内断熱が多いのか?それは断熱材の上に耐候性の高い仕上げをしないといけなくなってお金がかかるからだ。部屋内側であれば断熱材の上にボードを貼ってなんかしらの仕上げをすればいいが、外部で使うとなるとかなりいい材料を使わないいけなくなる。工事も難しくなる。
外断熱をする場合フリーレンの世界で使える断熱材には何があるだろうか?一番入手しやすいものは木材であろう。先ほども書いたが木という材料自体が断熱材だ。みなさんも自宅の鍋敷きは木製だと思う。木造であれば充填断熱で羊の毛を壁の中に詰めてしまうという手も考えられるが(実際にそう言う工法もある)組積造なので、外壁の外側に木材を貼っていくというのがお手軽な気がする。こういった部分は外観に大きく影響してくる。遠目には木造に見える仕上げになるだろう。しかし構造は組積造で窓は小さいので、独特のプロポーションになりそうだ。
外断熱とした場合、内断熱では弱点になった壁の蓄熱性が今度はプラスに変わる。例えば寒い冬の日に薪ストーブで温められるのは、部屋の空気だけではなく外壁の材料も同じことだ。そうして石、またはレンガの壁は蓄熱する。なので、夜ストーブの火を消しても暖かさが持続するのだ。
夏場の暑さをしのぐ方法は難しい。エアコンがあるとは思えない。フリーレンは氷魔法を使えるとは思うが、ちょこちょこと氷を出すのも大変そうなので、建物の中心の上部にムロを作ってそこに氷を置いてはどうかと思う。上の方にムロを設けるのは冷たい空気は下に流れるからだ。溶けた氷は水となるが、これは一回パン(平たい皿の様な物)で受けてお風呂などの水まわりに活用したい。清潔な水が得られるのであればタンクを設けて、重力を使って各所に給水してもいい。冬場は氷ではなく、直接少し温めた水なりを入れた方がいいだろう。
この水魔法や氷魔法は、千年以上生きている魔法使いのフリーレンには可能だろうが、フェルンにも教えた方がいいだろう。いや、フェルンは一般攻撃魔法と一般防御魔法だけではなく、「服が透けて見える魔法」や「服の汚れを綺麗に落とす魔法」も習得しているので、お湯を沸かしたり水や氷を発生させる魔法もある程度は使えるのかもしれない。
更に冷暖房のいらない季節には、外気をうまく取り込むために各部屋には最低二方向には窓を設けたい。二方向無ければ風は通り抜けない。これは現代住宅であっても重要な要素である。
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