第11話

11

僕はメグミの言葉を反復していた。

酔っている頭では、正確に反復できないが、

解る事は、メグミが僕に謝っていた事だった。

「僕の事を好きだ」とも言っていた。

本当だろうか?

僕の事を振っておきながら、いまさら可笑しいだろう。僕を揶揄いに来たのか?

あいつに頼まれて!

と、何故か怒りが込み上げる。

だけど、メグミの本心かも知れない。


「何、ボーとしてるのよ大岸君。

こっちに来てよ。」とサチコが呼ぶ。


「あんな、女の事なんて忘れなさいよ。

私がいるんだから」

と、更に云う。


…目の前の女性を選ぶか?

それとも、長年恋した女性を選ぶか?

どうしたらいいのさ、この僕は?

確かに僕は今は彼女も居ない。

でも、メグミは僕の事を好きって言ってくれた。その言葉を信じて待つか?

今、サチコと付き合ってしまったら、

メグミと寄りを戻す時に困ってしまう。

そう、例えるならば、お腹が空いた時に目の前に有る豚まんを食べるか?後で出てくるかも知れない、高級なお肉のビフテキを待つのかの選択である。焦って豚まんを食べるべきでは無い…

僕はこの様に決断した。


「こっちに来てよ、」

と、サチコの目が座っている。


だけど、この豚まんも美味しそうである。

僕は誘惑に負けそうになった時、

お店のドアが開いた。

現れたのは、ママさんだ。

それと・・・・。

僕は思わず言葉を呑む。



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