第8話

8

ママを送り出した後、僕達はお店で歓談していた。

「此処に、アスカの隠してある酒があるんじゃよ。」

と言いながら、洋酒が並ぶ中から一つの瓶を選び出す爺さん。

「これは年代物のテキーラだ。

アスカ用の酒じやよ。これを飲もうよ」


「いいんですか?ママに黙ってそんな物飲んでも」

と、心配になった僕は聞いた。


「黙っていれば解らんじゃろ。

そんな事気にしていたら、大きな男には成れんぞ」


と、訳の解らない事言う爺さん。


「私、いま食べる物を出すわ。お皿とってくるね」

と、サチコはお皿にコンビニで買ってきた物を並べている。


「美味しいですね。この料金はいくらでしたか?」


「そんな事はいいわ。私のおごりよ。」

と、笑顔で応えてくれる。

そんなサチコが可愛いくみえる。


「さあさあ飲むぞ、今夜は酒盛りだ!」

と、子供の様にはしゃぐ爺さん。

酒を酌み交わし、酔いが体に回ると

何故か皆んな饒舌となり大胆になってくる。


爺さんはいつも饒舌ではあるが、

サチコさんが僕に寄り添ってくる。


「あのね、大岸君。今付き合っている人いるの?いないでしょう」


と、質問しながら答えを導いている。

「まあ、いないけど。・・・」


「ねえ、私と付き合わない。わたしは今一人よ。」

と、甘えながら僕の腕を掴んでくる。

サチコの目は潤み、完全に酔っている。

僕も酔ってはいるが、まだ冷静ではある。

爺さんは酔い潰れたのか、眠っている。

今はサチコと二人きりの状態。


「ねえ、これからどうするの?

私は暇だよ」

と、誘ってくるサチコ。

僕の頭に残るAVの映像が流れた。

思わず、生唾を飲み込む僕。

僕の腕に絡みながら目を閉じるサチコ。

サチコはそれほど綺麗では無いがブスでも無い。

このまま、成り行きで・・・・・。

と、思っていると、

その良い雰囲気を壊すかの様に入り口のドアが開く。


「あの〜お店やっているんでしょか?」

と、聴き慣れた声が僕の耳に届いてきた。



見ると、メグミが佇んでいる。

僕はサチコを振り切りメグミの側に行く。

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