25 エピローグ


「お嬢様はやはり私の想像もつかない高みにいらっしゃったのですね」


「……いや、いないよ?」


 ダンジョン攻略以降、シャルロットはすっかりこの調子である。


 今までもこんな感じだったけど、拍車が掛かってしまった。


 しかも、それだけではない。


「ロゼさんの魔法だったら、魔王討伐も夢じゃなさそうですよね……!」


「……いや、それは貴女の仕事ではなくて?」


 聖女であるはずのリリーちゃんですらも、自分を差し置いてこんなことを言うようになってしまった。


「いえ、わたしなんてあの場に立ちすくんでいただけで何も出来ませんでしたから……お恥ずかしい限りですが、ロゼさんがいなかったら今頃、命はなかったと思います」


 リリーちゃんは伏し目がちに、わたしへの恩義を口にする。


「あのままでしたら上級魔獣に他の生徒も狙われていたことでしょう。お嬢様はこの学園を守ったと言っても過言ではありません」


 シャルロットのよいしょも止まらない。


 ……や、やめて欲しい。


 すっかり英雄扱いが始まっている。


 主人公ヒロインの好感度はわたしの方に上がりすぎて、敵対関係なんてどこにもない。


 もはや友好関係の方が順調と言える。


 これのどこが悪役令嬢なのだろう。


「今のお嬢様は、学園中の生徒の羨望の的ですよ」


「もうロゼさんを悪く言う人、あんまりいなくなりましたよね……?」


 噂というものは流れるのは一瞬で、突如現れた上級魔獣をロゼが討伐したというのはすぐに広まってしまった。


「王の護衛を務める気はないかい?」


「お前がそこまでの実力者とは思わなかった。その従者を魔女と言ったことも謝る」


「その魔術、是非研究させてもらえないだろうか?」


 と、攻略対象であるヒルベルト、レオ、ノエルの関心までもわたしが一身に背負う形になってしまった。


 これはもう完全にシナリオ崩壊と言っていい。


 とりあえず、もうこれ以上余計なフラグは立てまいと断ることだけに全集中するほかない。


「……お、お断りしますわ!」


 さて、これから原作のシナリオを取り戻せるのか。


 本当に悪役令嬢ロゼとして国外追放される未来を描けるのか。


 前途多難な物語はまだまだ続きそうだ。







【おしらせ】


 いつも読んで頂いてありがとうございます。


 ここで「王立魔法学園編」は終了となります。


 この先の構想もあったので、休憩した後に続きを書くかもしれませんが……ちょっと不透明です、すいません。


 申し訳ありませんが、一度ここで区切りとさせて下さい。


 読んで頂いた皆様には感謝しております。


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国外追放されたい乙女ゲームの悪役令嬢、聖女を超えた魔力のせいでヒロインより溺愛されて困まっています。 白藍まこと @oyamoya

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