ひるこ
ぜっぴん
ひるこ
天地が確立して間もない海は、ごうごうと荒む風が揉みしだいて、飽く事無く歪み、弾んで暴れていた。葦の舟が進むのはその只中であった。
見上げても足りない大波を次には尻目にして、上ったり、下ったり、絶えずに揺れながらの、ただ時間を過ごした。
私は罰を受けているのだ。そう身を戒める。望まれなかった私の罪であると、暗い海原をただよって。分かっているのは、自分が神の子であるということのほか何もなかった。
ただ、生きていた。流された子供に残されたのは、思案する脳だけであった。
この海を写したように、形成の最中に身悶えてたじろぐ空を見やる。見える全てがいまだ、空虚と混沌が飽和しながら、それでいてこの世いっぱいに満ちている。
潮にあてられながら、考えるばかりだった。
生きたい。私はただ、生きたい。
ひるこ ぜっぴん @zebu20
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