友情の臭い戦い
さくら ゆい
お金返してくれないから計画立てて実行するわ
怒り狂えば狂うほどとんでもないことになることは人間みんな同じで、それは今から出てくる男も同じ。でも程度が酷くなってしまえば復讐計画を立てることになりかねないこともあるんだ。
聞いてくれよ、ずっと俺は腹が立っているんだ。
友達の
それが4月7日になっても金は返ってこなかったし、5月の今になっても金が返ってこない。
俺はあいつに金を借りパクされたんだ!物を借りパクされるより、クソほどタチが悪いんだ、この問題はよ!
だからな俺は、あいつに金を返してもらえるように計画を立てることにしたんだ。
さっき「計画を立てる」といったがもう計画は立っていて、あとは実行に移すだけだ。
『お前はいつ計画に移すんだよ』と思っただろうが安心しろ、今からやる。
でもまず行かなきゃいけないところがあるんだ、ついてきてくれ。
自転車で思いっ切り飛ばすから気をつけろよ、危なかったとしても全てはあいつが悪いんだからな!
俺は行かなきゃいけないところへ自転車を思いっ切り飛ばした。
途中、怒りで「金返せ、あのボケがぁ!」とか色々この世の中を生きるためで言っては良くない言葉を叫んでしまい、演劇の稽古の話をしていたであろう爽やかイケメンと美女に哀れな目でみられ挙句の果てには『なんか変なの来たな』『そうね』と言われてしまった。俺が救えない人みたいで辛かったが、次お会いしたらお詫びってことで出せるだけの金を出して公演を見に行こう。会えなかったら、頑張っている子供達への寄付金にしよう。
行かなきゃいけない場所についた俺は、とある人物を呼び出した。
「よぉ、伊吹」
「瑞希、三重旅行のときはどうもな」
「礼は良いから、約束した例のものをくれ」
「はいはい、シュールストレミングね」
「ありがとよ。俺は行くぞ」
「おい、お前からの条件はねえのか」
「お前んとこの文芽姉さんにカフェのふわふわパンケーキを奢るのはどうだ?」
「俺にも後で奢れ。さもないとシュールストレミングは返してもらうからな」
「良いだろう」
「約束だ、行って来い」
俺は伊吹に見送られ、今回の計画実行対象の家へ乗り込むことにした。
ちなみに三重旅行に同行したもう一人の友達は伊吹で、どうして彼の家にあの危険物があるのかと言うと、家族みんなが好きらしく買えるときに買って食べるのだとか。でも他人に渡すのは気が引けるらしいが、俺はみんなが信頼しているからというよくわからない理由であの危険物を貰うことが出来た。ちなみに航空危険物にシュールストレミングは指定されている。
数分もしないうちに対象の家についた俺は対象を呼び出す。
「おい、扉開けろ!」
「なんだよ、うるさいなあ」
「お前、鳥羽から帰るときに貸した金返してねえだろ」
「あはは…」
話をしたときにこいつが扉を閉めようとしたので足で止めた。
俺の怒りは増して今すぐにでも投げてやりたかったが我慢しなければ、こっちが悪者になることだけが確実になってしまう。それはできるだけ防ぎたいんだよ。
「逃げたらシュールストレミング室内で開けてやるからな!」
「おい、やめろお前!」
「室内で開けられたくねえなら金借りパクせずに返せやぁ!」
「返すからそのシュールストレミングを離せ!」
「受け取るまでは離さねえぞ!あとお前俺にいくら借りたか覚えてんのか!?」
「…樋口様一枚?」
「ふざけんな、福沢様じゃ!おい、投げるからな!」
「早まるな!汚れたら俺の集めたグッズはどうなるってんだ!」
「んなもん知るか!まずは金返せ!」
なんて押し問答をしていたら、伊吹がやってきて俺のことを抑える。
伊吹はこの近くを散歩していただけなのに巻き込まれた、一番の被害者だ。
だから今度美味しいパンケーキと好きな飲み物を奢ってやろう。
でもな、情けないことに俺の怒りは収まらないんだ。
「なんで抑えるんだ伊吹!俺はまだ金すら返してもらってないんだぞ!」
「落ち着け瑞希、話は裕樹の家で聞いてやるから」
「なんで俺の家なんだよ、しかも勝手に入るなよ」
「シュールストレミング室内で開けられるよりマシだろ?」
「とりあえず瑞希はシュールストレミングを離せ」
「金を返してもらうまではな」
「良いぞ、離すな」
「すまなかった、だから許してくれ」
俺は確かに裕樹から一万円を受け取ったが怒りは鎮静化できていないので、少しずつ好きなことをして鎮静化していこうと思う。できなかったらあいつに回転寿司奢ってもらうわ。
あの危険物は室外で開けて食べたよ、美味しかったけど俺はもう良いかな。
帰りは自転車を飛ばさないで帰ったし、途中であの爽やかイケメンと美女にも会えた。
最初は変な雰囲気だったが話をすればするほど爽やかな人たちで横浜で活動している劇団というのも聞けたで満足だ。
ちなみにまだ文芽姉さんをカフェに連れて行くことに関しては誘う勇気が出ないので出来ていない。でも伊吹には奢って『二度とシュールストレミングを悪用するなよ』と怒られた。
裕樹に関しては俺自身が怒りを鎮静化出来なかった体にして謝罪として回転寿司を奢らせた。
そしてできるだけの金を出して爽やか美男美女の劇団の公演を観劇したのと、頑張っている子供達のために募金をした。
一応だが真似するやつが出てくるかもしれないから忠告しておくぞ。
シュールストレミングを復讐の道具に使うのは禁止だし、真似しても責任は取らないぞ。
シュールストレミングは室内ではなく、必ず室外で開けること。
友情の臭い戦い さくら ゆい @yui_0830
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます