第24怪
その日の部活では部長は休み、五人での部活動だった。事前に京子に確認をとり、赤坂家との繋がりについて説明をする。
「えっ?! てことは」
「でも京子さんは純たちが思ってるようなことはやってないし、関係もないんだよ」
予想通り、青崎側の人間には受け入れ難い話だった。だが京子は自分の立場が悪くなっても、真実を明らかにしたかった。
「姉が……ルルカがやりたいことを知りたいんです。ルルカはもしかしたら赤坂を裏切ってるのかも」
その回答に純と颯斗は驚き、真野と美玲は仮説を話した。
「その答えがカラクリ屋敷にあるかもってこと?」
「行ってみる価値はあるかと」
純と颯斗はお互い顔を見合わせて納得した。
「行こう、カラクリ屋敷に」
カラクリ屋敷は以前来た時と見た目はあまり変わらなかった。
「特に変化はないね、でも日が出てるほうが探索しやすくて良いかも」
「おい、美玲! カラクリ気をつけろ……って、作動しないな」
不思議なことにカラクリ屋敷に入ってもカラクリが作動することはなかった。
「おかしい、この間はあんだけカラクリだらけだったのに!」
美玲は自分が歩いた道筋を辿る。
「この道でなぜか水々しいこんにゃくが降ってきたんだよね」
「何年も放置されてる屋敷に水々しいこんにゃくなんてあるか? 干からびたこんにゃくだろ」
屋敷の内部は全く違った。ここにきて初めて分かった事がある。
「私たちが入る前、誰かが侵入してセッティングした?」
それまで黙っていた京子が話し出す。
「疑問なんですが、この屋敷に入って霊能力の痕跡を視ましたか? 私はカメラで撮っているんですが、どれも普通の写真なんです」
「確かに言われてみれば、ただの屋敷だな。本来なら痕跡は必ず残るはずだ。しかし完璧に消したとなるとルルカはそれほど強い霊能力を持っているのか?」
「いいえ、そこまで強ければルルカは赤坂でもっと良い待遇のはずです。母親を家族と別にアパートになんて住ませない」
一同は屋敷を出て、意見をまとめる。
「まず赤坂から見れば、美玲に前世の記憶を蘇らせるメリットはない。そして、ルルカはこれ程の規模の霊能力は持っていない。となると協力者はそれなりの実力がある可能性がある。では、なぜそんな事をする必要がある?」
疑問は残るばかりだ。その協力者が分かれば良いのだが。純は考えていた。
(こんなこと出来るのって……でも確証がない)
放課後、改めてルルカの家に向かうことにした京子と真野、美玲。
「ルルカさん、またいないかも」
「ですが母親は実際住んでいるらしいですからね、もしかしたら呼んでくれるかも」
「私の顔を見て閉め出すほうが現実的ですよ」
そう話しながら呼び鈴を押す。すると返答があった。
「ぶつぶつ聞こえてたわよ! 覚悟があるやつから入りなさい!」
三人で顔を見合い、喜ぶ。ルルカが返答してくれた。
「こんな古臭い家になんの用。私とアンタたちは宿敵でしょ?」
美玲は真剣にルルカの目を見て話す。ルルカも察したのか黙って美玲を見つめ直した。
「ずっと考えてたの。ルルカさんは何で私の記憶を蘇らせようとしたのか。だって赤坂家にメリットないじゃない」
ルルカはふうっとため息をして「それだけ?」と返す。そこへすかさず京子が言った。
「でも姉さんは、私たち全員を騙せるほど霊能力は高くないじゃない。あの場にいた相手は青崎の中でも実力者揃いだったんだから」
ルルカは真顔になり、冷たく言い放す。
「それじゃ説得力に欠けるわね。メリット? 記憶があろうが無かろうが対して驚異にはならないわよ貴女。霊能力は高くない? 言ってくれるじゃないの。私が力を隠してるとは思わないわけ? そもそもこうしてる間に私が赤坂の人間を呼んでいたらどうする? なぜノコノコやってきたのか理解出来ないわ」
京子も美玲も言葉を失う。仮説を作り、確証がないのに浮き上がっていたのかもしれない。そこに今まで黙っていた真野が話し出す。
「すみません、僕は妹でも宿敵でもないのに。でも一ついいですか?」
「言ってみなさいよ」と強気のルルカに冷静に真野は言う。
「僕にはいくら貴女が力を隠していようが、袂紳さんの生まれ変わりである部長までは騙せないと思うんです。それに部長、貴女が入部してきたとき『俺がスカウトしました』って言ってましたし。転校して間もない時期は質問責めに合うでしょ? 同じクラスだったから分かりますけど、貴女他の学年に行く余裕ありませんでしたよね。だから僕はお二人が以前から知り合いだったのかなぁって思ってるんですが……」
その発言に京子もルルカも美玲も驚く。そして美玲が言う。
「ちょ、真野くん! そこまで分かってたら早く言ってよってか部長やっぱ袂紳の生まれ変わりじゃん! あいつ腹立つー、いかにも知りませんよ? みたいな顔しやがって!」
「はぁ? アンタ知らなかったの?」
「違うよ、あいつが否定したの!」
やれやれ、とルルカは話を進める。
「そこまで知られちゃしょうがないわね。全部話すわよ。その代わり
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