第15話 おわり?始まり?

「ここは……!? 

俺は、死んだのか!?」


「あれっ! ドック……目を覚ましたのですか!?」


「……おぉ……その声は、フィン」


「お久しぶりです。

体調は、どうですか?」


「ぁぁ……何だか……ボォーとする。」


「それは、それは、10日ぶりの目覚めですからね。」


「…………10かぁーーー!!!

俺は、そんなに寝ていたのか!?」


「はい。

それはそれは、グッスリと……服まで全身タイツに戻りましたからね。」


「…………マジで! だから森に居るの?」


「いえ……これは、薬草を採取していただけです。」


「えっ!? でも、服は???」


「服はドックのスキル共有を使い大賢者さんが変えてくれました。」


「ああ、大賢者が…………って、フィン!

大賢者さんと話したの?」


「はい。

ドックがピクリともしなくなってから数日が過ぎた頃に、いきなり話しかけてきました。

そこでドックが眠りについている事や色々と聞きました。」


「そうだったのか……。

でも、何で!? このタイミングで話しかけたんだ……大賢者?

他にも話すタイミングは、合っただろう。」


『新たに覚えたスキル共有の力で、フィン様と話せるようになりました。』


「ぁぁ、そう言うことね。」


「でッ!!! 聞いて下さいよ!!! 

ドック! 僕、実はレベルが上がったんですよ!!!」


「へぇ……そうなの。

それは、良かったね……。」


「もっと、驚いて下さいよ! ドック!!!

僕のレベルが上がったんですよ。

僕は、もう諦めていたんですよ!!!

4年ですよ! 4年!!! 4年間全くレベルが上がらなかったのに、いきなりレベルアップビックリするじゃないですか!!!」


「まあ、確かに……

でも、そんな事より……

俺達……魔吸石ゲットしたよね。

これで、俺達の冒険は終わりだよね……

俺は、その事の方が驚きなんですけど!!!」


「ああ……これの事ですか!?」


フィンは、空間収納から魔吸石を取り出した。


「そう! それ!!!

間違いなく魔吸石!?」


「はい。

間違いなく魔吸石です。」


「だよねー!!! だって、俺! 意識を失う前に、ちゃんと鑑定したもん。」


「ありがとうございます。

これで、妹を助けられます!

そして、僕のステータスを見てください!」


「……たった今、旅の目的が無くなってしまったのに、テンション高いね君……。

分かった! 分かった! とりあえず、ステータスを見るから……」



名前 フィン レベル2

HP 60

MP 10

攻撃力 20

守備力 20

スピード60



「よわッ……!!!

大体、レベル1の冒険者と同じか……

それより少し弱いくらいのステータスじゃねーか!!! 

てかッ……レベル1の時は、もっと弱かったのか!? そっちの方が驚きだよ!!!」


「むむ……でも、MPも表示されていますし。

僕も魔法が使えるようになるんですよ!」


「魔法なら俺の魔力を使えば、無制限で使えるじゃねーか!!!」


「ちゃんと、自分自身の魔力で魔法を発動させたいんですよ!!!」


「……それは、悪かった!

それもそうかもしれないな。

悪い……長く寝ていたせいと色んな終わりを迎えたせいでテンパっていた。」


「いえ……

僕も、レベルが上がった事に浮かれ過ぎて……すいません。

ドックには、本当に感謝しています。」


ぁぁ……そうだな。

今まで、上がらなかったレベルが上がり……

妹を助ける為の魔吸石も手に入れた。


俺達の冒険は、これにて……【完】

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