第4話 魔物

こうして、俺は本当に魔物にでも着てもらうほかなくなってしまった。



そうして……


今! 俺は、魔物に咥えられていた。


オオカミ型の魔物だ!!!


そいつらは、俺を咥え……引っ張り合い。

引きずり回し……引き裂いて、俺が見るも無惨な姿になると立ち去って行った。


「ゔゔぅ……あいつら、絶対に許さない!」


痛みは無いし、時間が経てば再生はするが……心が痛い。


それから数日、オオカミ達に引き裂かれては再生をするを繰り返した!


ある日。


俺はつかまれて持ち上げられると……


そいつに家にと持ち帰られた。



そいつは、大型の鳥の魔物で俺をに持ち帰り下に敷くと、その上に卵を産み落とした。


俺は、完全に卵を温める為の暖として使われる事になった。



それから、数ヶ月後……


卵から可愛い鳥の雛達が誕生した。


「……まぁ、何と可愛らしい!

数ヶ月間、大事に温めたかいがありましたわ」


すると、親鳥は雛達に餌を与える為に狩へと向かった。


「大丈夫ですよ。

産みの母……貴方が戻るまで、育ての母である! 私がこの子達を守りますわ」





それから数時間後に戻って来た母鳥の足には、オークが握り締められていた。


そして、雛達が待つ巣に降ろされたオークを見ると! まだ少しだけ息があったが……

そんな事は、お構いし無しと雛達は瀕死のオークに群がった。



オークの悲鳴と鮮血を飛び散らせながらの雛達の食事は、まるで地獄絵図の様だった。


そして、俺も悲鳴を上げていた。


「こえぇぇぇーーー!!! 怖い怖い怖お怖い……

めっちゃ獰猛なんですけど、この子達!!!

食事の度に、こんな光景を見るなんて耐えられない。

誰か助けてくれーーー!!!」


俺の悲痛な叫びは、誰にも届かない。


それから雛達は、オークを食べ終えると

残った骨を巣から投げ捨てるとお腹がいっぱいになった事もあり、スヤスヤと寝てしまった。


「……やっぱりこの子達の寝顔は天使ね。

なんて言ってる場合じゃねーーー!!!」


俺は、すぐさまオークの血で真っ赤になった自分自身をクリーニングで、キレイにすると!


ここから脱出する方法を考えた。


俺は、こいつらに踏まれている為に

ちょっとやそっとの風では飛ばされる事はない。

まず、コイツらを退かさなければ何もならない。


「大賢者! 何かいい方法はないか!?」


『雛達の巣立ちを待つのが得策かと思われます』


「いや、それは無理だ!!!

あんな酷い食事を毎度魅せられては精神が持たない……

俺は、今すぐ! ここから出たい。」


『検証しましたが……不可能かと思われます』


「ふざけんな! 何が大賢者だ!!!

異世界に来てから何の役にも立ってねぇーじゃねぇ〜か!」


『……でしたら、資格と聴覚を遮断する為に

【睡眠】のスキルを習得する事をお勧めします』


「ふざけんな! そんなの何の解決にもなってねぇーよ!」


『視覚と聴覚を遮断すれば精神的なダメージは受けない為に問題ないかと思われます』


「……くそッ! まぁ、いい。

それで【睡眠】とは、どんなスキルなんだ!?

ただ寝るだけって事は、ねぇーだろ?」


『破損した個所や消費した魔力などを少しづつ回復します』


「……それって、自然回復や自己修復が有れば必要ないのでは?」


『はい。

その為に、少ないポイントで習得が可能です』


「…………ですよね。

あんまり意味の無いスキルだものね……。

まぁ……でも、今大事なのはそこじゃないか。

分かった! スキル【睡眠】を習得する。」


そうして俺は、雛達が食事の間は眠り。

聴覚と視覚を遮断する事に成功!

そして、数ヶ月が過ぎた頃……


「…………あらあら、お前達……こんなにも大きくなって……」


少しづつ産毛も生え変わり旅立ちの日を迎えようとしていた。


「ゔぅえ! おゔぇ……ぺッ……ぺッ!!!

口の中に生え変わった産毛が入ってくる。

うわっ! 食べちまった。

おぉゔぇッ!!! 気持ち悪い……」


『羽毛を吸収しました。』


「知らんは、そんな事! そんな事より。

この羽毛をどうにかしてくれ!!!」


『風に飛ばされて無くなるのを待つ事を推奨します』


「お前って、何もしないで待つの本当に好きな……」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る