第7話 近所のおじさん
-side ゼノ-
『どうやら、上手く行ったようだな』
「リル!」
いきなりドラゴンさんの目の前に突き飛ばして、終わったと思ったんだぞ!
ポカポカと叩く。
『すまんすまん。だが、実際に泣き止んだだろう?主人と認められたお主しか泣き止ませることはできなかったのだ』
「そうだったんだ」
従魔のリルが俺に敵意ある行動はできないはずだと思っていたら、確実に助かるという確信があったからだったのか。
「ぱっぱ!」
「主人じゃなくて、パパって呼ばれてるみたいだけど?」
『一緒だろう?パパも主人も』
「全然違うけど」
「あにちゃ!」
エレメンタルドラゴンはリルのことを指刺して、笑顔で話す。
『む?どうしました?エレメンタルドラゴン様?』
「あにちゃ!」
「どうやら、こいつはお前を兄と認めたみたいだぞ?」
『む?我はエレメンタルドラゴン様の忠臣ゆえ、そのような呼び方は困ります』
「あにちゃああ、あにちゃあああ!!!」
「ちょちょちょ……」
エレメンタルドラゴンが再び泣きそうになっているので、頑張って落ち着かせる。
『むむ……、仕方ないですね』
「良かった。これで道連れができる」
『なんか言ったか?』
「んーんー、何にも」
「あにちゃ!」
「そうです。我が貴方の兄上です」
「きゃっきゃっきゃっ!」
喜んでいるみたいだ。よかった、機嫌を直してくれた。
『エレメンタルドラゴン様、だったら私は?』
「あ?フェニックスさん?」
フェニックスさんも仲間に入れてほしいそうだ。
状況から言って、いとことか弟とかだろうか?
「だーれー?この人?」
『この人はね、フェニックスさん。さっき話してたでしょ?』
「あー」
エレメンタルドラゴンさんはポケーっとした表情でフェニックスさんのことを見つめる。
そして一言。
「……近所のおじさん」
『お、おじさん』
「だめ?」
『あっ……いえいえそんなことはございません!』
本当は誠に遺憾であると思っているのだろう。若干フェニックスさんの顔が引きつっている。
「エレメンタルドラゴンさん。フェニックスさんを家族認定したらだめ?」
『ゼノ様……』
フェニックスさんが可哀想なので救いの手を差し伸べることにした。
一応、エレメンタルドラゴンさんに聞いてみる。
フェニックスさんのキラキラとした眼差しが痛い。
「んーー……やだ」
嫌らしい。ガックリとフェニックスさんは項垂れている。どうやらトドメを刺してしまったようだ。
どうやらフェニックスさんは近所のおじさん認定されたようです。
「な、なんで?」
「だって、パパの仲間じゃないもん」
そっか。そういえば、今更気づいたがフェニックスさんは俺の従魔にまだなっていない。
『ゼノ様』
フェニックスさんは期待の眼差しで俺のことを見つめる。
「あーいいよ」
『よっし!』
きっかけがあれば仲良くなりたいなと思ってはいたが、まさかこんなに早く従魔になりたいと言われるとは。エレメンタルドラゴン、恐るべし。
「名前は何がいい?」
『そうですね……フェニックスなのでフェニなんてどうでしょう?』
「わかった、フェニ、俺の従魔になってくれる?」
『喜んで!』
ーーピカーー!
こうして、フェニックスのフェニは無事に俺の従魔になった。
「でこの人は?」
「んーー、叔父さん!」
『わーい』
まあ、近所のおじさんからはちょっとは昇格したか。
本人が喜んでいるならよし!
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